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れみりゃ(レミリア=スカーレット) (未完成です) 笑顔 怒り 驚き 悲しみ 呆れ
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人間の小屋の中にまた勝手に住み着くゆっくりがいた。 それ自体はよくあることである。 そして、子持ちである事もよくあるが、今回は少し変わったゆっくりが住み着いていた。 「う~♪ れみりゃのぷりてーなあがちゃん~♪」 「う~~♪」 一匹のお母さんれみりゃと赤ちゃんれみりゃ。 出生は不明だが、どこかのお屋敷から抜け出してきたのかもしれない。 こーまかんと、この小屋を重ね合わせているのかもしれないからだ。 邪魔な農具の類は全て乱雑にぶちまけ、開いたスペースにお尻を着いたお母さんれみりゃはニコニコと赤ちゃんれみりゃを眺めている。 「うっう~♪ おながへっだどーー!!」 突然、何の脈絡も無しにお母さんれみりゃが立ち上がり、天を指指し高らかに宣言する。 「う~ごひゃん~♪」 赤ちゃんれみりゃも純粋な瞳をお母さんに向けて微笑む。 どうやら、こちらもお腹が減ったようだ。 「う~~~いぐどぉ~~♪」 その声を聞いたお母さんれみりゃは、少しスピードを殺して、そのまま母屋の方へ戻る。 この小屋は、母屋の人間が倉庫として使っていたものだったようだ。 しかし、最近は使っていなかったらしく、それゆえゆっくりの進入を許してしまったらしい。 そんな事をこれっぽっちも知らない二匹は、さも当然のように、今まで来た事のない母屋に向かって歩を進めてゆく。 後ろからヨチヨチと赤ちゃんれみりゃが付いて来るのでお母さんはご機嫌だ。 お母さんは歩いて、赤ちゃんはお母さんの顔の高さまで浮かび上がって、仲良く歌いながら母屋の中へ。 「がぁ~お~た~べちゃ~うぞ~!!!」 「じょーー!!」 障子を破り捨てて更に奥へ進む。 目指すは台所。 「う~~♪」 台所へ着いたお母さんれみりゃは、おいしそうな香りを出しているおかずには一切目もくれずに戸棚や氷室の中を調べ上げる。 「う~!! ぽいするのぽい!!」 自分が食べたいもの以外を処理する事も忘れない。 ここも自分のお屋敷、だから何をやっても良い、自分の好きなように振舞う。 笑顔のまま、台所の棚という棚を漁りまくっているれみりゃの顔は、飛びっきりの笑顔であった。 「うーー!! ざぐやにいいづけでやるーーーーー!!!」 どうやらお気に入りの食べ物が無かったようで、家の中をめちゃくちゃにしてから、笑顔でれみりゃ親子はこの家を後にした。 「う~~~~……」 出来る限り高く(2メートル)飛んで辺りを見回すお母さんれみりゃ。 めぼしい家が見当たらないようで、迷っているようだ。 「うーーーおかーしゃん!! あのおーち!!」 赤ちゃんれみりゃが指差した家は、手前の家が陰になってよく見えないがそれなりに豪華そうな家だった。 「う~~~♪ いっくどぉ~~~~♪」 元気百倍肉饅頭のポーズでその家まで飛んでゆく。 「うーーーー!!!」 門の前まで来ると、やはり、なかなか大きな家のようだ。 「うっう~♪」 塀を飛び越え庭に、そこから家の中へ入っていく。 「うーーー!! がぁおーーー!! がぁおーーー!!!」 「ぎゃおーーー!!」 先ほどと同じように、障子を破り捨てて奥へ奥へと進んでゆく親子。 直ぐにお目当ての台所が見つかった。 しかも、この家には大きな冷蔵庫もある。 「う~~!!」 喜び勇んで早速お目当てのものを探し出す。 こっちをあけたらポイ。 あっちをあけてもポイ。 今回も全て捨てるだけなのかと思われたそのとき、親子から嬉しい悲鳴があがった。 「う~♪ ぷっでぃ~ん♪ れみりゃのぷっでぃ~ん♪」 「うーーー!! ぷっでぃーーん!!」 その手に握られていたのは、大きなプリンだった。 「「う~♪ れみ☆りゃ☆う~♪ にぱー」」 自分の一丸の好物、しかもこんなにも大きなものを手に入れたれみりゃはご機嫌だ。 さっそく、食べようと蓋を剥がす。 「う~~~♪ ……う~? うーーーーーーー!!!!!!!」 おかあさんれみりゃが懸命に蓋を外そうとするが、なかなか剥がせない。 それもその筈、剥がすための出っ張りは、綺麗に切り落とされていたのだから。 「まぁまーーがんばっでーーー!!!」 「ううーーーーー!!! ううーーーーーーー!!!!」 愛娘の応援を受け、必死になって蓋を剥がそうと奮闘するお母さんれみりゃだが、小さなその手で開けられるほど、幻想郷の包装技術は遅れていない。 「ううーーーー!!! ざぐやにいいづけでやるどぉーーーー!!!!!!」 結局開けられないことが分かると、興味をなくしたようにプリンを投げ捨て更に物色し始める親れみりゃ。 「う~~~うっう~~♪」 次に見つけたのはカステラだった。 買ってきたばかりなのであろうそれは、親れみりゃの顔ほどの大きさがあった。 「う~~~~♪ おがじ~♪ むっしゃむっしゃ♪」 床に腰を下ろし、両手でしっかりと掴んで食べ始める。 「う~~? れみりゃのぷっりでーなあがじゃ~ん♪ おっがじ~あるどぉ~♪」 近くに居るはずの赤ちゃんに呼びかける、しかし、返事は意外なほど遠くから聞こえた。 「うーーーー♪ まぁまぁーー♪ れみりゃごれかいだのーーー!!!」 赤ちゃんれみりゃが手渡したのは一枚の画用紙だった。 そこにはクレヨンで満遍なく線が書いてあるだけだ。 「う~~~♪ れみりゃのこどかいてくれだの~~?」 「うーーー♪ まぁまぁをかいだのーーー!!!」 どうやら、それは自分の事を描いた絵だと認識したらしく、お母さんれみりゃはにこにこしながら両手でそれを持って眺めている。 「うーー♪ これおいじーー♪」 一方の赤ちゃんれみりゃは、先ほどの母親と同じような格好で残ったカステラに齧り付いていた。 「うっう~♪ れみりゃもかくどぉ~♪ ぐれよんどぉごぉ~?」 「うーー♪ こっぢーーーー!!!」 赤ちゃんに連れられてお母さんれみりゃが向かった部屋には、沢山のクレヨンと画用紙がばら撒かれていた。 「うっう~♪ れみりゃはぷっりでぃ~なあかちゃんど、さぐやのえをかくど~♪」 「れみりゃももっとまぁまぁのえをかくどー♪」 その楽しい一家団欒は、この家の主が帰ってくるまで続いた。 その間に、絵を描く事に飽きた親子は、先ほどの家と同じように全てをめちゃくちゃにし、クレヨンで家中の飾り付けを終えたようだ。 親子とも大の字になってぐっすり眠っていた。 「……オラ、起きろ」 帰ってくるなり、我が家の変わり果てた様子に愕然とした男は、お腹に蹴りをぶち込み二匹を叩き起こす。 「うぎゃーー!!! ざぐやーーどごーー!!」 「まぁまぁーー!!! しゃくやーー!!!」 たいしたダメージにはならなかった様で、二匹とも元気にのたうち回っている。 「おい! 俺のうちで何してんだ?」 「う~ここはれみりゃのおーぢなの♪ ざぐやにいっでべっどど~、ぷっでぃ~んをはこんでもらうの♪」 「うーー♪」 早くも回復した親子がニコニコと男に語りかける。 「う!! うっう~♪」 母親が何かに気付いたようその場を後にする。 残ったのは男と赤ちゃんれみりゃだけ。 「うーーー!! うあうあ~~~♪ うぎゃ!!!」 好き勝手に踊っている赤ちゃんれみりゃを掴み上げ、引きちぎる。 中からは、おいしそうな肉まんの匂いが漂ってきたが、男はそれを食べようとはせず、お母さんれみりゃが 戻ってくるのをじっと待っていた。 「うっう~♪ はやぐこのぷっでぃ~んあげでね~♪」 先ほどのプリンを持ってきたれみりゃが、有無も言わさぬ態度で男に命令してきた。 「そのまえに、ここは俺の家だよ。そして、お前達は俺の家をめちゃくちゃにしたんだよ。分かる?」 「うーーーー!! いいがらはやぐあげるの!! ざぐやにいいつげるどぉーーーー!!!!」 あくまで聞く耳が無い。 まさに饅頭に説教である。 「わかったよ。じゃあその間これでも食ってろ。うまいぞ~♪」 「う~♪ れみりゃちゃべりゅ~~~♪」 男から渡された、モノを両手でしっかりと受け取るれみりゃ。 「う~♪ あーーn? うあーー!!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 口に入れるその段階で漸く、それが自分の子供だと気付いたれみりゃは、どうして良いのか分からず持ったままおろおろとしている。 「ほら、開いたぞ。それじゃあ交換な」 ヒョイっとれみりゃの手からソレを取り上げて変わりにプリンを載せる。 なかなかゆっくり思いの男のようで、しっかりと安っぽい紙皿の上にプッチンされていた。 「……ううううう……」 「どうした? くわないのか?」 右手をバリッと食いちぎる男。 手に持っているプリンを男が持っているソレを交互に見比べながら、れみりゃは必死に何かを考えているようだ。 「うーーー!! それはれみりゃのあがちゃんなの!! たべものじゃないの!!!」 漸く考えが纏まったようで、顔を真っ赤にしてそれだけを叫んだ。 「ん? そうなのか? そいつは悪いことしたな」 「ほら、返すよ」 お母さんれみりゃの前に子供れみりゃを投げ捨てる。 「うーー……まぁまぁ……」 まだ息はあるようで、しきりに母親の名前を連呼している。 「うあーーー!! れみりゃのぷりでーなあがちゃん!! あがちゃーーん!!!」 手に持っていたプリンを投げ捨てて、必死に赤ちゃんの元へ駆け寄る。 しかし、後一歩の所で男の足が気持ち悪い親子の再会を阻んだ。 「うあーーー!! まぁまぁ!! まぁまぁ!!!」 「ああああ!!! ざぐやーーー!!! ざぐやーーー!!! ごわいひどがいるどぉーーー!!!」 必死に自分の面倒をみてるれる者の名前を叫ぶが聞こえるはずも無い。 「さて。もう一度聞くけど、お前たちが勝手に家をめちゃくちゃにした事は分かってるかい?」 「はいーー!!! だがらゆるじてーー!!!」 「ごめんにゃしゃいーーー!!!!」 何処で覚えたのか、お母さんれみりゃは必死に土下座までして男に謝っている。 そんな様子を見ていた男は、ゆっくりと赤ちゃんれみりゃを踏んでいた足から力を抜いていく。 「う!! う~~♪」 その事に気が付いた赤ちゃんれみりゃは、必死の泣き顔から一転、100万発の笑顔に早変わりした。 「おっと、そうだここは誰の家かな?」 勿論、ここまでされたゆっくりが次に言う台詞はお決まりのものである。 「「うっう~♪ れみりゃのおへやだどぉ~♪ れみ☆りゃ☆う~♪ にぱー♪」」 何も言わずに再び足に力を込める。 「いっぎゃーーー!!!! ぎゃーーーー!!!!」 更に、足を捻っていく。 「あああ!! ぎゃは!! あががががが!!!!!!」 赤ちゃんがボロボロになったところで、持ち上げて母親に投げつける。 「うぎゃあ!!」 「あああ!! あがじゃんがーーー!!!!」 「もう一度だけ聞くけど? ここは誰のお家?」 「おにーざんのおーじ!! ゆるじでーーーー!!!」 「漸く分かってくれたかい? それなら良いんだ」 「うーー!! でもれみりゃたちにがわいおもいざぜたがら、ざぐやにいいつげてやるど~♪」 「そうだった。家をめちゃくちゃにしたお仕置きと、折角のプリンを落としたお仕置きが済んで無かったね♪」 子供を抱いて逃げ様としていたれみりゃの羽を掴んで、勢いよく叩き落す男。 「あががが!!!」 突然の衝撃に、お母さんれみりゃは何がなんだか分からず、痛みだけをこらえている。 その様子を笑みを浮かべて見ていた男は、ノコギリでゆっくりと四肢と胴体をばらしてゆく。 「いだい!! いだい!!!」 質の悪いノコギリのようでなかなか上手く切断する事ができない。 「うががが!!!」 ギーコ 「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーー!!!!!!!」 「まぁまぁーーーー!!!!」 「お前はこっち」 「う? ああああじゅいーーー!!!」 子供は大きな寸胴の中へ、蓋をして数時間じっくりと煮詰める。 「ああああああ!! れみりゃのあがじゃんどーずるのーーー!!!」 「食べるんだよ? どうしてそんな事聞くの?」 「なんでーー!! れみりゃはたべものじゃないどぉーーー!!!」 「何でって言われてもね。君一匹だけ売ればお金は十分だからね」 四肢を落とし終えた男は、れみりゃの目の前でソレも鍋の中に放り込んでいく。 必死に泣き叫んでいるれみりゃの声をものともせず、再度蓋をし終えた男は、れみりゃの方に向き直りニッコリとして呟いた。 「はい。これお口に入れるよ」 「う? うぐぐ!!」 「はい縫い付けるよー♪」 「うぎゃあ!! あが!! はが!! げほ!! おえ!!!」 入れられたのは先ほど楽しく描いていたクレヨン当然美味しくも無いが、吐き出すこともできない。 「人が趣味で使ってたものでこんな事するなんてねー」 口を縫い付けると、そのまま頬を思いっきり殴りつけた。 「!!! うううーーーー!!!」 何度も、何度も殴る。 「ううーーーーー!!!!」 口の中では涎とクレヨンがごちゃごちゃに混ざっている事だろう。 「よし。これ位で良いか」 ひとしきり殴り終わり、四肢も再生したソレを今度は土間まで連れ戻す。 「このままじゃ売り物にならないからね」 スプーンを使って口の中をくり貫いてゆく。 「いだい!! いだい!!! いだいーーーーー!!!!!!!」 当然、歯もボロボロと床に落ちる。 「ざぐあy---!!!! ざぐああーーーー!!!!! どごーーー!!!!」 それでも、口の中を書き出す手を休めない。 いや、既に口の中は存在していない。 「ああーーーーーーーーー!!! あーーーーー!!!」 最後の方になると、もはや喋る事もできないようで、ただ空気を吐き出しているだけになった。 しかし、直ぐに再生するので余り深く考えなくても良いだろう。 寧ろ、恐怖を与えて旨みを増幅させる事が大事なのだ。 男は、ソレを狭苦しい箱に無理矢理収めると、ダシを取っておいた寸胴で料理を始めた。 翌日。 紅魔館では、珍しく美味しい餡が入ったとびっきりの餃子が振舞われたという。 このSSに感想を付ける
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「う~~♪ た~べちゃ~うぞ~♪」 空の低い森の中を、ボヨンボヨンと飛んでいるのはゆっくりれみりゃ。 俊敏でなければならないはずの捕食種なのだが、この四肢の有るれみりゃは違う。 太っているわけでは無いが、丸々とした体型に低い運動能力、そしてゆっくり随一の低い知能。 「う~~!! まで~~~~♪」 しかも、狩りも、遊びの一環としてしか考えていないのだろう。 その顔に、真剣の文字はなくヘラヘラと笑いながら獲物を追いかけている。 「はぁはぁ!! ゆっくりにげるよ!!」 「ゆっくり~~~!!」 逃げていたのは、ゆっくり霊夢親子だった。 お散歩中に襲われ、必死でにげている最中。 そして、親子は上手くれみりゃを誘導し、その差を少しずつ広げていく。 「う~~まつんだどぉ~~♪」 「まじゃ~~~♪」 この日、このれみりゃは二匹で狩りに出かけていた。 お母さんれみりゃと子供れみりゃ。 二匹とも四肢をだらんと下げ、大きな目で獲物を捕らえて追いかけてくる。 「うつう~~~♪ れみりゃはかりのてんさいだど~~~~♪」 「う~~♪ まぁまぁすごいどぉ~~♪」 差が広がっている事に気付かないようで、お互いの顔を見つめあいながら森の中を飛んでいく。 「う~~♪ ぶじゃ!!!」 当然れみりゃにそんな器用な事ができる筈もなく、お母さんれみりゃは木の枝に正面衝突。 「うあああーーー!!! れみりゃのびゅーてふーーーーなぼでーーーがーーー!!!」 地面に落ちたれみりゃは自身の首から下が目の前に落ちているのを認め、大声で泣き散らす。 「う~~~? う~~♪」 そこにやってくる赤ちゃんれみりゃ。 「う~~~♪ まぁまぁはがりのてんさいだどぉ~~~♪」 おかあさんれみりゃの体と頭を交互に眺め、一言話し、満面の笑みでその体にむしゃぶりつく赤ちゃんれみりゃ。 「あああーーー!! それはまぁまぁのからだだどぉーー!! たべものじゃないどぉーー!!!」 「うまうま♪」 「ちがうどーー!! れみりゃのがらだだべないでーーーー!!!!!」 赤ちゃんれみりゃは、母親の必死の叫びに耳も貸さず、自分の体よりも遥かに大きな獲物を進める。 「おいし~~どぉ~~~♪」 「うーー!! ざぐやーーー!! ざぐやーー!! だずけでーーー!!!」 「う~~~♪ ぶさいくなにくまんだどぉ~~~♪」 「う?」 今だ首だけのれみりゃが、自分を見ている赤ちゃんれみりゃに気付いた。 その顔は、何か宝物を発見したような、そんな顔だった。 「う~~~♪ あがじゃ~~~ん!! まぁまぁをだすげてねぇ~~~♪」 「う~~♪ おいしそ~だどぉ~~~♪」 「う? うああーーー!!! あああーーーー!!!」 衝撃で帽子が吹き飛び、おまけに体もない。 れみりゃの赤ちゃんにその状態が自分の母親であるとは到底思えなかった。 「う~~~♪ ぶしゃいくなまんじゅ~~もおいし~~ど~~~♪」 「まぁまぁはぶさいくじゃないどーーー!!!! いたいどぉーーー!!! だずけでーーー!!!!」 母親を食い終えた赤ちゃんれみりゃは、見えぬ母親を探し、水面に映った自分の姿を母親だと思い込み湖に散った。 ―― 「ゆゆ!! みんな!! もうだいじょうぶだよ!!」 「よかったねおかーさん!!」 「ゆっくりできりゅね!!」 「そうだね!! ゆゆ!! ここにおみずがいっぱいあるよ!!」 「ほんとだ!!」 「すごいね!!」 「これはながれていないから、にんげんがくんだんだよ!!」 「だったらあまいね!!」 「おれんじぎゅーすだね!!」 「れいむたちがみつけたから、みんなれーむたちのものだね!!!」 「「「「ゆっくりいたあだきまーーす♪」」」」 そうして霊夢一家も湖に消えた。 このSSに感想を付ける
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前ページへ 「今回はダメだ」 「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」 れみりゃとちびりゃの悲鳴。 かなり期待していたのだろう。 そう言いたくなる気持ちは分からなくもない。 「とりあえず座れ、れみりゃ、ちびりゃ」 「う~…」 「あぅ~…」 俺はれみりゃとちびりゃを座らせる。 じっくり話をしないとな。 「お前達がこれを欲しいと言うのはわかった」 「ほしいぞぉ!!」 「すぴあ☆ざ☆ぐんぐにるやりたいどぉ!!」 れみりゃとちびりゃが瞳を輝かせる。 しかし。 「でもな、これを買ったらしばらくあまあまパフェは無しだ」 「うぁ!?」 「あぅ!?」 そりゃそうだろう。 家で食べるより外食の方が金を食うんだから。 少し可哀相だが、金の問題は早々妥協する訳にはいかないのだ。 それに無暗に子供におもちゃを買ってあげるのは良くないと聞いたことがある。 買ってやるなら特別な日限定にしてやらないと歯止めが利かなくなる、と。 今回、俺が断ったのはその考えも頭にあった。 れみりゃ達が際限なくねだってくるかどうかは怪しいがな。 「う~…」 「あぅ~…」 れみりゃとちびりゃは難しそうな顔をしている。 その肉まんブレインでパフェとグングニルを秤にかけているのだろう。 「なあ、れみりゃにちびりゃ。少し聞いてくれないか」 「う~?」 「あぅ~?」 俺はコホンと一つ咳払いをする。 特に意味はない。 「れみりゃ、もう少しでお前が俺の家に来た日になるだろう」 「うぁ?」 そう、あと少しで姉貴が赤ちゃんだったれみりゃを連れてきた日になるのだ。 具体的に言えば来月だ。 記念日にするとしたらそこら辺だろう。 それに来月まで我慢してもらえるなら、外食を我慢しなくても良いだろうし。 「その日になったら俺からお前達にグングニルをプレゼントしよう」 「ほんとぉ!?」 「あぅ~あぅ~♪」 れみりゃとちびりゃは顔を輝かせる。 今回、俺がグングニルをすぐに買ってあげなかった理由はもう一つある。 特に理由もないのにプレゼントをしていたら有難味はなくなるのではないかと考えたのだ。 限りある記念日のプレゼントだからこそ、大事にしたいということになるんじゃないかと俺は思ったのだ。 「う~♪はやくそのひがこないかなぁ♪」 「れみぃたのしみだどぉ♪」 これでとりあえず一件落着かな。 「よし、腹減ったし飯にしようぜ」 「う~♪ぷっでぃん♪ぷっでぃん♪」 「あぅ~♪れみぃおなかぺこぺこだどぉ♪」 俺は今まで特別なプレゼントというのをあまり買ってやったことがなかった。 そのことについては反省しなければならない。 これからは、これを機にどんどん記念日を作って行こうと思う。 ちびりゃの誕生日にも何かプレゼントしてやらないとな。 「どのぷっでぃんにしようかなぁ♪」 「れみぃはぁ♪きょうはやきぷっでぃんがいいどぉ♪」 「う~♪う~♪まんまぁはあいすぷっでぃんにしようかなぁ♪」 「あぅ~♪れみぃもぉ♪」 れみりゃ達が笑顔でプリンを物色している。 俺はいつまでもこの笑顔を見ていたい。 俺はカレンダーを見る。 俺もなんだか来月の記念日が来るのが楽しみになって来た。 グングニルをプレゼントした時…れみりゃとちびりゃがどんな笑顔を見せてくれるのか、俺も期待してその日を待つ事にしよう。 ,.-─- 、 ∧_,,∧\書/ /\ ( e'ω'a)∩‐ | 後 ⊂ / ヽ/ r‐' / `""ヽ_ノ 企画SSの合間に書いてみました。 選択肢実装実験+私のれみりゃ分補給の為ですw もし皆さんがこのような立場になったならどちらを選びますか? あと、買ってあげないという選択肢は無いのでそれはご了承ください。 お手伝いして頑張るれみりゃたちがいじらしくて可愛かったです(*^_^*) -- 名無し (2011-03-22 18 48 05) 今度は是非ふらんを入れてくれませんかね -- 名無しさん (2011-04-30 11 18 12) 名前 コメント
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「うっう~~♪ きょうはぴぐにっくなんだどぉ~~♪」 人間が寄り付かない屋敷、紅魔館。 その中の、草木が生い茂った庭に一組のゆっくり家族が整列していた。 「うっう~~♪ きょうはぴぐにっぐだどぉ~~~♪」 「う~~~♪」 一家の今日の予定はピクニック。 お母さんれみりゃが、自分のポーチからガさゴソと取り出したメモ帳には、ゆっくりがのたくった様な線で幾何学模様が書かれていた。 「う~~♪ きょうのすけずーるだどぉ~~♪ かえっでぎだらおいしいぷっでぃ~~んがまってるどぉ~~♪」 「「「う~~♪ ぷっでぃ~~ん♪」」」 ゆっくり一馬鹿な頭で、幾何学模様の暗号を解読したれみりゃは、この日の同伴者の姿を求めて一声あげる。 「う~~~!! おそいどぉ~~~!! おそいどた~べちゃ~うぞ~♪」 「すみませんね~~♪ 遅れちゃいました♪」 「う~~♪」 何時も通り自分が呼ぶと、直ぐに人が来ることを確認したれみりゃは満足そうに頷く。 「それでは、楽しい楽しいピクニックに出発しましょうか」 「うっう~~♪」 れみりゃ五匹を後ろに引き連れての大行進。 「ば~~か♪」 「う~~~♪」 「う~~~!!」 門番に悪態をついて屋敷を出た後に、綺麗な湖を過ぎ、緑の森を過ぎ。 そして、漸く今日の目的地、人里へとやってきた。 「う~~!! ここはちがうどぉ~~♪ ぴくにっぐをしにきたんだどぉ~~♪」 そう言って、お母さんれみりゃはスカートをグイグイと引っ張ってくる。 「……。プリン食べたくないですか?」 「うっう~~♪ ぷっでぃ~~んだべる~~♪」 街の男達の視線が一斉に此方に向いたが、気にせずにれみりゃに提案する。 勿論、反論も起こる筈も無く本来の目的も忘れてぷっでぃ~んコールを始める親子。 「ふふふ。こっちですよ」 微笑を浮かべ、一つの店へと案内する。 「「「「「う~~♪」」」」」」 そして、何の疑いも無くゾロゾロと中に入ってくる一家。 傍目には、そこはどう考えても洋菓子屋には見えない。 「いらっしゃいませ~~~!!」 「いらっじゃいませ~~!!」 「う? う~~~~♪」 中に入ると、一匹のれみりゃと一人の男が一行を出迎えてくれた。 そのれみりゃは、何時ものババァ臭い紫の衣装の上に夏らしい金魚のアクセントが涼しげな、水色のエプロンをつけている。 「依頼されていたれみりゃ、親1、子4です」 「どうも、有難うございます。やはり今日は忙しいですから一家族だと足りないんですよ」 男が、れみりゃを引率してきた者と喋っている間に、れみりゃ家族は店員れみりゃに近寄っていく。 「うっう~~♪ おどるんだどぉ~~♪」 「「「うっう~~♪ れみ☆りゃ☆う~~♪ にぱ~♪」」」 仲良くれみりゃダンスを踊ろうと近づいていったようだが、肝心の店員れみりゃはうんともすんとも答えない。 「うーー!! うーーー!!!」 せっせと、ひたすら何かを作っているだけだ。 「う~~?うーーー!!!!」 それが何なのか、ニコニコと覗き込んだお母さんれみりゃの顔が一気に驚愕の表情となる。 そこでは、店員れみりゃが、自分の子供と思われるれみりゃ達から、ドンドンドンドン肉まんを作っていたからだ。 「うーー!!! うーー!! わるいやつだどぉーーーー!! やっつけるどーーー!!!」 子供殺し、というよりかわいいかわいい自分達の子供をこんな風にする事が許せなかったお母さんれみりゃは、その店員れみりゃに攻撃しようと近づいていった。 しかし、寸での所で男に抱え上げられる。 「うーー!! はなぜーー!! れみりゃはこーまかんのおぜーさまだどーー!!」 「今回は、余り時間が無いので、少し強めにやります」 そう言うと、抱え上げたれみりゃに、なにやら話し始めた。 「さて、今からお前も自分の赤ちゃんで肉まんを作ってもらうぞ」 「うーー!! ばぁ~~がぁ~!! れみちゃはそんなごとしないどぉ~~♪ !! ぎゃーーーー!!!!」 「どうだい? 作る気になったかな?」 時間が無い、と言っていたとおり男は持っていた包丁でれみりゃの頬をくり貫くと、そこに熱々の油を流し込んだ。 「あああーーー!!! あづいどぉーーー!! ざぐやーー!! ざぐやーーー!! だずげでーー!!」 目に大粒の涙を浮かべ必死に今まで世話をしてくれたものの名前を呼ぶ。 が、しかし、生憎とその従者はここには居ない。 博麗神社で行われる宴会の準備に借り出されているのだ。 「ほらほら、作るのかい? 作らないのかい?」 男は手を休めない。 既に両頬、背中、そして今は片目にナイフが迫ろうとしていた。 「うーーー!! つぐるーーー!!! つぐるーーーー!!!!!」 その勢いに負けたのか、はたまた自分が助かるためのおべっかか。 ともかく、このお母さんれみりゃは肉まん作りを納得したようだ。 「それじゃあ、これ着て」 「コッチ来て」 「良くこのれみりゃを見て」 「ちょっとやってみて」 「下手だね。美味くできなかったら、油を流すよ」 とは、男の声。 「う~~♪ れみりゃにないすににあってるどぉ~~♪」 「うっう~~♪」 「うーー!! いやじゃーー!! うぐぐ!! みだぐないーー!!!」 「う~~♪ れみりゃにかかればかんたんだど~~♪」 「うーー!! れみりゃはへたぶそじゃないどぉーーー!! ぎゃはーー!! あづいーーー!!!」 此方は、れみりゃの声。 その後、十回油を流された所で漸く人様に出せるほどの肉まんを作ることが可能になった。 「まぁ、良いだろ」 「うっう~~♪ れみりゃはてんさいだどぉ~~~♪」 自分の作ったモノが褒められて嬉しいようで、満面の笑みで男にアピールするれみりゃ。 「う~~♪ あがじゃんたじもみてだぁ~~? ?」 振り向いた先に、自分の赤ちゃんは居なかった。 「う~~? あがじゃんどご~?」 「ここだよ」 男が見せてくれたのは、大きなサウナだった。 「うーー!!」 「あじゅいどーー!!」 「まぁまぁーー!!」 「うあーー!!」 中では、余りの高温で赤ちゃん達が泣き叫んでいる。 「あああーーー!!! れみりゃのあがじゃんーーー!! あがじゃんーーー!!!」 お母さんれみりゃの声も、中に居る子供達には届かない。 「おいれみりゃ。どの子供が一番かわいい?」 「う~~? !! あにょこ!!」 中で、泣き叫んでいる内の、一番不細工な赤ちゃんを指差しながら答えるお母さんれみりゃ。 「そうか」 と、男はそのれみりゃを中から取り出し、店の表へと引き返していく。 「うーーー!! れみりゃのぷろで~なあがじゃんをぞんなふうにもっじゃだめーー!!!」 お母さんれみりゃが懸命に講義するが、そんな事は男の知った事ではない。 そそくさと、カウンターに戻ると、店員れみりゃはキチンと肉まん作りに精を出していたようだ。 「ほら、お前も作るんだよ」 「う~~? !! にぐまんつくるどぉ~~!! あがじゃ~~ん!! まぁまぁはつくるのがうまいんだどぉ~~♪」 「びぎゃーーーー!!!!」 「うわーーー!!! なにするんだどぉーーー!!!!」 「何って、さっきもやっただろ? ほら、さっさと作れ、それともお仕置きが良いか?」 自分の赤ちゃんの腕を目の前に置かれ、泣き叫ぶお母さんれみりゃだが、お仕置きは嫌らしく渋々と肉まん作りを始めていく。 「遅い!! 60秒に一個作らなかったらお仕置きだぞ!!」 「うーー!!! はいーーー!!! はいーーー!!」 そこからは、二匹の親が次々と肉まんを作っていった。 途中から開店時間になり、店員れみりゃはオーダーの肉まん作りに回り、普通の肉まん作りはお母さんれみりゃ任された。 「はいーー!! れみりゃのこどもたじがらつぐったおいしーーにぐまんですーー!!」 「ありがどーーございましだーー!! まだおいしいれみりゃのにぐまんをかいにぎでくださいーー!!!」 「遅いよ!! れみりゃは肉まん作るのが天才なんだろ?」 「はいーー!!! いそぎまずーーー!!!」 どちらのれみりゃも大忙し、あっちでもこっちでも泣き声が聞こえてくる。 それでも人波が途切れないのは、この味と、この声の所為かもしれない。 「れ! れみりゃのぷりでぃーーな!! ……れみりゃのあがじゃんのおいじーにぐまんでずーー!! こーまがんのれみりゃたじのにくまんはおいしーでずーー!!!」 午後になると、予約販売分の肉まんを求めて、またまた長蛇の列ができた。 それの相手はお母さんれみりゃが任せられた。 「本当においしそうね! さすがれみりゃのあかちゃんね!!」 「はいーー!! れみりゃのあがじゃんはおいじーですーー!!!」 「さすが紅魔館の肉まんだ。とっても美味しく育てたんだね!」 「ぞうでずーー!! れみりゃがおいじぐなるよーにあがじゃんをさだでたんですーー!!!」 ずらっと並んだお客が、次々とれみりゃを褒めて店を出て行く。 もし文句を言ったら、その場でお仕置き。 そして、永遠に続くかと思われた列も途切れ、漸く今日の営業は終了した。 「おし! 二匹ともお疲れさん!!」 「おずがれざまでじたーー!!!」 「うーー!! うーーー!!!!」 激務から開放された二匹は、思い思いの言葉で男に答える。 「それじゃあ、君の赤ちゃんを返すよ」 「う~~~!! あがじゃんをがえすんだどぉ~~!!」 今もってくるから、そう言って奥に引っ込んでいった男を尻目に、お母さんれみりゃは店員れみりゃに話しかける。 「う~~~♪ れみりゃだどぉ~~♪」 「う~~♪ そっちもれみりゃだどぉ~~♪」 「うっう~~♪ あうあう♪」 「う~~~~♪ うっうう~~~~♪」 ここで肉まんを作り始めてから、仲間に有った事の無い店員れみりゃもご機嫌な様子でお母さんれみりゃに答える。 「おーい!! つれてきたぞーー」 「「れみ☆りゃ☆う~~~♪ にぱ~~~♪」」 男が戻ってきた所で、二人のダンスも終わりを迎えた。 「う~~♪ はやくかえるんだど~~♪」 「「う~~♪」」 「「まぁまぁだ~~♪」」 久しぶりの親子再開で、何時もの調子を取り戻した一家は、さっさとこの家を出ようと今日一緒に来ていたモノの名前を呼ぶ。 「う~~♪ かえるど~~~♪ さぐやにいっていじめでもらうど~~♪」 「うーー!!」 「うーー!!」 「ごぁぐま~~♪ どこだどぉ~~♪ はやくでてくるんだどぉ~~♪」 「うーー!! でてごーーい!!」 「ででごーーい!!!」 「遅れてすいませんでした!!」 呼ばれた小悪魔は、店の奥ではなく、入り口から現れた。 「う~~♪ はやぐかえるんだどぉ~~♪ ぷっでぃ~~んのよ~いをするんだどぉ~~♪」 「この五匹で何個の肉まんができますか?」 「まぁ、百五十個位かな?」 「それじゃあ、お願いできますか?」 「いいよ、今日はこっちが卸して貰ったから、肉まん代は只でいいよ!!」 「有難うございます。では、できたら頃にまた寄らせてもらいますね」 れみりゃと全く視線を合わせずに、また店から出て行ってしまう小悪魔。 「うーー!! まつんだどーー!! れみりゃをおいってちゃだめだどぉーーー!!!」 「お前はこっち!」 「うぎゃ!!」 一緒に外に出て行こうとするれみりゃを捕まえて中に引き戻す。 「ほら、良く見てろよ」 「うーーー!! はなすんだどぉーー!! こーまかんのれでーにこんなことしちゃだめなんだどーー!!」 「おい!! しごとだ!!」 「「「「ぶぎゃ!!」」」」 店員れみりゃの前に四匹の赤ちゃんれみりゃを蹴り出す、勿論それはお母さんれみりゃの赤ちゃんだ。 「あああーー!! あがじゃんをげっじゃだめーーーーー!!!!」 「それ、全部使って肉まん作れ!! 今すぐ!!!」 「!! はいーー!!」 言われて、直ぐに一匹を捕まえ調理していく店員れみりゃ。 「お前もだ」 そして、男の腕の中で泣き叫んでいるれみりゃにも伝える。 「うーー!! いやだーーー!! はなぜーーー!!!」 しかし、お仕置き、というと素直に従った。 「うーー!! おやしぎにかえりだいどーー!!!」 黙々と作業をするれみりゃ達。 二匹とも、一匹目の調理が終わり二匹目に取り掛かろうとする。 しかし、お母さんれみりゃの方は、頭を残している。 自分達が再生することを知っているからの処置だろう。 当然、だからこそ今までもそこまで激しく抵抗しなかったのだから。 「おい! コイツの頭の変わりにやってやれ」 「はいーー!!」 しかし、今回は違った。 男は、残った頭を店員れみりゃへ渡すと、調理を支持したのだ。 「やめでーーー!!! それはれみりゃのあかじゃんだどーーーー!!!」 「ちがうよー! これは美味しい最高級の肉まんだよ」 「やめでーー!! ざぐやにいいつけでやるそーー!! れみりゃもやめでーー!!!」 これ以上このれみりゃは調理不可と結論付けた男は、また腕の中にれみりゃを抱き店員れみりゃの流れるような作業を見学させた。 「あああーーー!!! なんでーー!! なんでそんなことするんだどぉーー!!!」 「うーー!! ごめんだどーー!! ごめんだどーー!!!」 一匹が非難し、もう一匹が謝罪する。 その間にも、ドンドンと材料が肉まんの形になっていく。 「まぁまぁーーー!!! びひゃ!! ……」 そして、最後の一匹が肉まんになった。 同時に、男の他が緩む。 「うああーーー!! れみりゃがやっつけでやるどーーー!!!!」 お母さんれみりゃが、店員れみりゃに殴りかかろうとしたが、今だ男の手の中に居るのでそれは叶わない。 「!! うぎゃーー!!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 それどころか、両腕に激痛が走った。 慌てて自分の両腕を見ると、既に男の手から店員れみりゃの目の前に置かれていた。 そして、肉まんが生まれていく。 「ああーー!! それはれみりゃのおててだどぉーー!!! たべものじゃないどーーー!!」 そんな事で作業の手が止まるはずも無く、足、胴体と来て最後に頭部だけとなった。 「うーー!! どーじでーーー!!!」 「うああーーー!!!」 さっきまで、仲良く踊っていた二匹の目が合う。 同時に、二匹はこの日一番の声で泣き叫ぶ。 「ほら、さっさとやれよ!! 時間が無いんだ」 「はいーー!! やりまずーー!!」 男の声は絶対だ。 「それに、今日以降はまた一家族で事たりるしな」 お母さんれみりゃの目に最後に映ったのは、台の上に置いてあった自分のポーチだった。 ―― 「おまたせしましたーー!! 紅魔館特製肉まんですよーー!! 土用丑の日にはぴったりですよーー!!!」 日が落ち始め、宴会が始まった直ぐに小悪魔が沢山の肉まんの入った箱を抱えてやってきた。 「良く転ばなかったわね」 魔理沙と、珍しく来ていたアリスと一緒の茣蓙に座っていたパチュリーが、物珍しいモノを見たように話しかけてきた。 「はい!! 来る間にゆっくりの子供を二三潰しちゃいましたけど」 「意外と少ないわね」 「いえ、単位は家族分ですよ。流石に大きいお母さんは踏まなかったですけど」 「レミィ達も肉まんをまっているはわ、そっちにも持って行ってね」 「はい♪」 近くの茣蓙を探すと、霊夢と一緒にお酒を飲んでいるレミリアを直ぐに見つけることができた。 「レミリア様。肉まんをお持ちしましたよ」 「ありがとう小悪魔。さぁ、れいむ!! これが巷で評判の紅魔館肉まんよ!!」 「ふーん、これがねー。……どうでも良いけど。あんた前に、もう絶対屋敷に入れないって言ってなかったけ?」 一口食べて、思い出したようにレミリア尋ねる。 「そう思ったけど、パチュリーや小悪魔が、ここで育った肉まんはとっても美味しいからって言ったから、屋敷の中で飼うことを許可したのよ。結構な高値で売れるしね」 「それは、あのメイド長が喜びそうね」 「そうねぇ。でも、養殖という事を咲夜は知っていないし。私や小悪魔が色々と悪戯して、大体半数の肉まんはそのまま死んでしまう。勝手に外へ行っても、やっぱり人間の手にかかるし。それにね、突然居なくなった肉まんを、咲夜が一生懸命探す様子は見ものよ!! 最高よ!! 今度一緒に見てみる?」 嬉々として語るレミリア。 「そうね、私のれいむにもちょっかい出すし。良い暇つぶしになりそうだわ」 「ふふふ。それじゃあ今度招待するわ。小悪魔を使いに出すから」 「それよりも」 「何?」 「そんなに儲けてるなら賽銭くらい入れてきなさいよ」 このSSに感想を付ける
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前ページへ 「仕方ない、買ってやるよ」 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」 「やったどぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 れみりゃとちびりゃが歓声を上げながら「ばんじゃ~い」と両手を頭上に上げている。 やれやれ、今月は少し苦しかったんだが。 れみりゃと姉貴には勝てない、ってか? せめてマッチョリーには勝てるようになりたい…。 「うっう~♪さっそくかいにいくぞぉ♪」 「れみぃじゅんびしてくるどぉ♪」 「まんまぁもだぞぉ♪」 「お、おい…」 いや、今から買いに行くなんて言ってないんだが。 俺もう疲れたんだけど。 「おにいさんもゆっくりじゅんびしてねぇ~ん♪」 「あぅ~♪あぅ~♪」 こいつらすっかり乗り気だし。 あ~もう…行くしかないのか…。 俺は重い重い腰を上げることにした…。 「すぴあ☆ざ☆ぐんぐにるだっぞぉ♪」 「まんまぁかりしゅまだどぉ♪えれがんとだどぉ♪きゅーてぃくるだどぉ♪」 「そんなにほめられるとぉ♪まんまぁてれちゃうぞぉ♪」 ああ…財布が随分軽くなってしまった。 いや、紙幣で払ったんだから気のせいだろうけど…。 俺の諭吉が一枚消えてしまった…。 野口英世なんていらんかったんや…いや、いるけど。 「つぎはれみぃのばんだどぉ♪」 「うっう~♪おちびちゃんかりしゅまだぞぉ♪ぷりでぃだっぞぉ♪」 「あぅあぅ~♪」 まあ、こいつらが喜んでるから良しとするか。 俺は気持ちを切り替えることにした。 いい加減腹減ったしな。 「すぴあ☆ざ☆ぐんぐにるだどぉ♪」 「ぎゃお~!もけ~れはおぜうさまのぐんぐにるにやられてしまったぞぉ♪」 「おい、れみりゃ、ちびりゃ。飯食うぞ飯」 「う~♪ぷっでぃん♪ぷっでぃん♪」 「あぅあぅ~♪ぐんぐにるとぷっでぃんはとってもゆっくりできるどぉ♪」 れみりゃとちびりゃの笑顔はゆっくり出来る。 グングニル代はそれで返してもらったと思うことにした。 れみりゃとちびりゃのスマイル=プライスレス(金では買えない貴重なもの)なのだ。 俺にとってはな。 ,.-─- 、 ∧_,,∧\書/ /\ ( e'ω'a)∩‐ | 後 ⊂ / ヽ/ r‐' / `""ヽ_ノ 企画SSの合間に書いてみました。 選択肢実装実験+私のれみりゃ分補給の為ですw もし皆さんがこのような立場になったならどちらを選びますか? あと、買ってあげないという選択肢は無いのでそれはご了承ください。 名前 コメント
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※絵本風にしてみました。 ※一貫してほのぼのです。 ※作中で登場するれみりゃは、全員胴付きのれみりゃです。 よろしければどうぞ れみりゃ達の日常(収穫編) ここは日本の山奥の辺境の地、幻想郷。 人間、妖怪、神様までもが共存している異色の地です。 そんな幻想郷は今は秋。 少しずつ寒くなっていこうという少々寂しくなる季節です。 そんな幻想郷にも朝が訪れようとしていました。 朝は誰にでもやって来ます。 神様にも、妖怪にも、人間にも…そして ゆっくりにも。 ここは幻想郷のさらに山奥… ある一つの集落にも朝が訪れようとしていました。 「あさだっぞぉぉぉ!!!!」 山奥に元気な声が木霊します。 とても元気な叫び声ですね。 その叫びを合図に、集落は活動を開始しました。 「うっう~♪あさだっぞぉ♪」 「まんまぁ…れみぃまだおねむだぞぉ…」 「おなかすいたどぉ…」 「くか~くか~」 おやおや、寝ながら歩いている子もいるようですよ。 大丈夫なのでしょうか? 「うぁっ!?」 寝ながらフラフラ歩いていたら大木にぶつかってしまいました。 おかげで目は覚めた様ですが、痛そうに鼻を摩っています。 「いたいのぉ…れみぃのかりしゅまあふれるたかだかなおはながぁ…」 「だいじょうぶだぞぉ!もともとひくいぞぉ!」 「うぁっ!!それはききずてならないどぉ!!」 近くにいた少女も鼻を摩っている少女を慰めようとしたのだと思いますが、どうやら言葉が悪かったようです。 そのまま喧嘩を始めてしまいました。 お互いの顔をそのふくよかな手で引っ張り合っています。 「「うにに…」」 喧嘩をする程に元気があると言うことですね。 心配はいらなかったようです。 そんな喧嘩をよそに思い思いに動くピンク色の洋服と帽子を身につけた少女達。 見た目は人間の子供に見えますが、彼女達は人間ではありません。 その証拠に、小さな背中には小さく黒い翼が生えています。 そう、彼女達は胴付きのゆっくりれみりゃ達です。 この界隈には、大小の50匹の胴付きれみりゃが住んでいます。 ここは胴付きのゆっくりれみりゃ達の集落なのです。 「みんなぁ!!ちゅうもくだっぞぉ!!」 おや? ピンク色の洋服を着たれみりゃの中に、一匹だけ緑色の恐竜の着ぐるみを着たれみりゃがいます。 着ぐるみを着たれみりゃが声を張り上げると、それと同時に周りのれみりゃ達が着ぐるみれみりゃに注目し始めました。 喧嘩をしていた2匹も慌てて向き直ります。 これはどういうことでしょうか。 「おぜうさまからのかりしゅまあふれるおことばだぞぉ!!かりしゅまあふれるみんなぁ♪ゆっくりきいてねぇ~ん♪」 「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」 どうやら着ぐるみを着たれみりゃがこの集落のリーダーのようですね。 彼女は元々レアな胴付きれみりゃの中でもさらにレアなれみりゃザウルスなのです。 れみりゃ達は誰もが自分達の事をカリスマだと思っていますが、れみりゃザウルスはそのれみりゃ達の中でも一目置かれる存在のようです。 だからこそ、子供っぽいれみりゃ達をまとめられる訳ですね。 「きょうはいよいよ『しゅ~かく』するぞぉ!!きょうがれみぃたちの『しゅ~たいせ~』だっぞぉ!!」 「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」 「みんなのかりしゅまでさいごのしあげにするんだぞぉ!!」 「「「「「「「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」」」」」」」 れみりゃザウルスの声に全員が歓声を上げます。 『しゅ~かく』…収穫のことでしょうか。 れみりゃ達は一体何を収穫しようと言うのでしょうか。 「みんなぁぁぁぁ!!!いちおういっておくぞぉぉぉ!!!つまみぐいははしたないからやめるんだぞぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」 「「「…う~」」」 「どぼじでこえがちいさいのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」 さて、オチもついたところで、れみりゃ達の生活をもう少し詳しく見てみることにしましょう。 まず20匹程のれみりゃ達がバケツを持ってどこかへ出かけようとしているようです。 このれみりゃ達が向かったのは山の頂から流れる川。 どうやら水を汲もうとしているようです。 ゆっくり達も喉が乾けば水を飲みます。 それは人間や妖怪と変わらないのです。 れみりゃ達は川に着くと、靴を脱いで川の中に入ります。 水を汲むだけならば、川の中に入らなくても良いのですけどね。 しかし、れみりゃ達は子供っぽく好奇心旺盛で遊び好き。 川があるのなら、離れて見ているだけなどということは出来ないのです。 「うっう~♪ちべたいどぉ♪」 「そぉれ♪ばっしゃ~ん♪」 「うぁぁぁ!!ちべたいぞぉぉぉぉ!!!」 「おかえしだどぉぉぉ!!!」 「てめ~はれみぃをおこらせたぞぉ!!」 おやおや、水汲みそっちのけで水の掛け合いが始まってしまいました。 微笑ましい光景なのですが、はしゃぐと危ないですよ。 「うぁぁぁっ!!」 ほら、言ってるそばから一匹のれみりゃが川の中で滑って転んでしまいました。 洋服はすっかりびしょびしょに濡れてしまいました。 「うぁぁぁぁ…れみぃのおようふくがびしょびしょだっぞぉ…」 「おぼうしがないどぉ!!」 「うあっ!?」 転んでしまったれみりゃが他のれみりゃの指摘により自身の頭を触ると、そこには確かに帽子がありませんでした。 どうやら転んでしまった時に流されてしまったようです。 「れみぃのおぼうしぃぃぃぃ!!」 「みんなでさがすどぉ!!」 「やれやれだぞぉ…」 嫌そうに言うれみりゃも中にはいますが、その目は真剣です。 彼女達は誰もが帽子をとても大切にしています。 その想いは言わずとも伝わるのでしょう。 それからはれみりゃ達による帽子捜索が始まりました。 数匹のれみりゃが川下の方へ飛ぶと、流されてる帽子を発見することが出来ました。 川の流れがあまり早くなかったことが幸いしたようです。 「れみぃのおぼうしぃぃぃ!!!うぁぁぁぁぁぁん!!」 「よかったぞぉ…」 「かったっ!だいさんぶかん!だっぞぉ!」 自分の帽子を見つけたれみりゃが、帽子を抱きしめながら泣き出してしまいました。 余程嬉しかったのでしょう。 ですが、悪ふざけも程々にしましょうね。 さて、他のれみりゃも見てみましょう。 20匹のれみりゃが何処かへと歩いて行きます。 その中にはリーダーであるれみりゃザウルスも混じっています。 一体どこへ向かうのでしょうか。 「うっう~♪ぶれっくふぁすとだっぞぉ♪」 「れいと~こへいくぞぉ♪」 「あぅ~♪れみぃぺこぺこだどぉ♪」 『れいと~こ』…どうやら、彼女達は冷凍庫へと向かうようです。 しかし、ここは電気も届かない幻想郷の山奥。 冷凍庫などあるのでしょうか。 「うっう~♪ついたぞぉ♪」 れみりゃ達が向かったのは岩山の中にぽっかりと大きく口を開けた洞窟です。 ここが彼女達の言う冷凍庫なのでしょうか。 一見普通の洞窟にしか見えませんが…。 「チルノフ~!はいるぞぉ!」 れみりゃザウルスが一声上げると、ぞろぞろとれみりゃ達が洞窟の中へ入って行きます。 チルノフ…とは一体何のことでしょうか。 「うぅ~…さむいぞぉ…」 「しゅ~りしゅ~りしながらはいるどぉ…」 「おしくらまんじゅ~だどぉ♪」 「お~されてなぁくなぁだっぞぉ♪」 洞窟の中は所々霜が張ってあり、とても寒そうでした。 れみりゃ達はお互い身を寄せ合いながら中へと進んでいきます。 これがれみりゃ達の寒さ対策なのでしょう。 そしてある程度中を進むと、そこには山盛の野菜と共に一人の水色の髪をした少女が眠っておりました。 彼女がチルノフなのでしょうか。 れみりゃザウルスが少女に声を掛けます。 「チルノフ~♪おやさいもっていくぞぉ♪」 「…」 チルノフは返事をしません。 しかし、そこら中に落ちている野菜を拾っていくれみりゃ達を止めようともしません。 恐らく、チルノフは了解の意を示しているのでしょう。 この状況はどういうことかと言うと、れみりゃ達とチルノフは契約を結んだのです。 野菜を分けてあげるから、この洞窟を冷凍庫代わりに使わせて欲しいという契約を。 チルノフは基本的にずっと寝ている為、あまり御飯は摂りません。 しかし、彼女も生きている以上、御飯は食べます。 ただ、御飯を食べるには外へ出て御飯を探しに行かなければなりません。 チルノフにはそれはひどく苦痛に感じるものでした。 そんな時、れみりゃの集落が近くまで引っ越してきたのです。 れみりゃ達の要望とチルノフの要望が合致した結果、このように共存していくことになりました。 れみりゃ達が来てくれたお陰で、チルノフはこの洞窟から出ることなくずっとゆっくりしていられるようになったのです。 チルノフは何も言いませんが、心の中でれみりゃ達にとても感謝していました。 と、そうこうしているうちに、れみりゃ達が野菜を拾い終わったようです。 「みんなぁ!きちんとおやさいもったぁ!?」 「「「「「うっう~♪」」」」」 「じゃあみんなでそとにでるぞぉ!!」 「「「「「うっう~♪」」」」」 「つまみぐいははしたないぞぉ!!」 「「…う~…」」 「きちんとへんじしてぇっ!!」 どの道、野菜は凍っている為にこのままでは食べられないのですがね。 それでもれみりゃ達はお腹が空いている為、つまみ食いしたいようです。 「ううっ…おなかぺこぺこだどぉ…」 涎を垂らしているれみりゃも中にはいます。 持ってる野菜を見つめたまま歩いているれみりゃもいます。 「いっただっきまぁ~っすだっぞぉ!!」 おや、一匹のれみりゃがキノコに齧りついてしまいました。 余程お腹が空いていたようです。 「あがっ!…かたかただぞぉ…」 「なにしてるのぉぉぉ!?」 「うぁぁっ!みつかっちゃったぞぉ!」 当然、凍っている為に食べられるものではありませんでしたが。 さらに、れみりゃザウルスのお叱りを受けてしまうことになってしまいました。 皆さんもつまみ食いなどというはしたない真似をするのはやめましょうね。 さて、残りの10匹のれみりゃは何をしているのでしょうか。 見ると近くの山小屋に入って行ったようです。 中で一体何をしているのでしょうか。 「あぅあぅ♪おそうじおそうじぃ~♪」 「きれいきれいにするどぉ♪」 なんと! れみりゃ達が山小屋の掃除を始めていました。 山小屋は本当に小さい山小屋です。 50匹のれみりゃ達が入りきれる大きさではない為、れみりゃ達はここで寝泊まりしている訳ではありません。 れみりゃ達は普段は草むらの上や木の上で寝泊まりしています。 では、何故ここを掃除するのでしょうか。 「こ~まかんはかりしゅまあふれるきれいなおやしきなんだどぉ♪」 「れみぃたちはこ~まかんのおぜうさまなんだぞぉ♪」 そう、れみりゃ達はこの無人の山小屋を『こ~まかん』と名付け、とても大事にしていたのです。 それは、れみりゃ達は『こ~まかん』の『おぜうさま』という自覚があるからです。 なのに、『こ~まかん』がなければ話になりません。 良い『こ~まかん』はないものかと幻想郷を探し回っていた時に、この山小屋を発見したのです。 れみりゃ達がこの場所で生活することに決めたのも、この山小屋があったからです。 ここは皆の『こ~まかん』で、皆はこの『こ~まかん』の『おぜうさま』という意識を持つことで、皆でこの『こ~まかん』を大事にしてきました。 そして、これからもこの山小屋…いえ、『こ~まかん』は大事にされていくことでしょう。 れみりゃ達の手によって。 「おそうじおわったぞぉ♪」 「こ~まかんもかりしゅまになったどぉ♪」 実際はれみりゃ達はほとんど何もしていません。 もし『こ~まかん』の中に虫が入っていたら拾う、程度の物でそれ以外のことは何もしていません。 しかし、彼女達はこの『こ~まかん』の為に何かしたかったのでしょう。 自分達の居場所である『こ~まかん』の為に。 「う~♪」 「こ~まかんがゆっくりできてるぞぉ♪れみぃもゆっくりできるぞぉ♪」 「う~♪ゆっくりゆっくりぃ♪」 れみりゃ達は外へ出て、『こ~まかん』を嬉しそうに見上げます。 『こ~まかん』がゆっくり出来ていると、彼女達もゆっくり出来るのです。 ここが自分達の居場所なのですから。 「おみずくんできたぞぉ!!」 「ごくごくのむどぉ!!」 「おやさいとってきたぞぉ!!」 「みんなでぶれっくふぁすとにするどぉ!!」 水を汲みに行ったれみりゃ達、野菜を取りに行ったれみりゃ達も戻って来たようです。 さて、ここで皆で朝食タイム…と、いきたいところなのですが、冷凍庫に保管してあった野菜を解凍しなければいけません。 それは一体どのようにするのでしょうか。 「みんなぁ♪かれきさんをれみぃのまえにおくんだぞぉ♪」 「「「「「うっう~♪」」」」」 れみりゃ達がれみりゃザウルスの前に何かを置いて行きます。 それは、食料調達組が帰り道で拾ってきた枯れ木です。 それをれみりゃザウルスの前に置きました。 一体どうするつもりなのでしょうか。 「いっくぞぉ…」 れみりゃザウルスは大きく息を吸い込みました。 「ふやじょうレェェェェッドだっぞぉ!」 なんと! その言葉と共に、れみりゃザウルスの口から炎が吐き出されました。 炎は枯れ木に燃え移り、あっという間に小さな焚き火が出来たのでした。 そう、れみりゃザウルスは口から炎を吐くことが出来たのです。 この能力のお陰もあり、他のれみりゃはれみりゃザウルスのことをリーダーとして認めているのです。 れみりゃ達はれみりゃザウルスがいなければ、火を使うこともできないのですから。 「みんなぁ!おやさいもったぁ?」 「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」 れみりゃザウルスが枯れ木に火を吹いている間に、野菜は全てのれみりゃに行き届いていました。 それをれみりゃザウルスも確認すると、満面の笑顔を浮かべて叫びます。 「それじゃあたべるぞぉ♪」 「「「「「「「いっただっきま~っす!!」」」」」」」」 れみりゃ達はその言葉を合図に焚き火に群がります。 余程お腹が空いていたのでしょう。 普段はゆっくりした動きと言うのに、このような時だけは非常に素早い動きです。 「はふはふ…おいしいどぉ…」 「あちゅちゅ…あちゅいどぉ…でもおいしいどぉ…」 れみりゃ達が食べる野菜は山の中で拾ってきた山菜やキノコ、そしてサツマイモなどです。 「はふはふ…おいもはあまあまでおいしいどぉ♪」 「おいもはゆっくりできるぞぉ♪」 美味しそうに芋を頬張っているれみりゃ達。 さて、このサツマイモはどこから調達してきたのでしょうか。 「お~、皆は朝御飯の時間だっぺなぁ」 「あ!」 れみりゃの一匹が、近寄って来た人影に気が付きます。 そして皆がその人物を見て、思い思いに叫びます。 「「「「「「「「「「のうかりんだっどぉ!!」」」」」」」」」」 「今日もれみりゃ達はゆっくりできてるっぺなぁ」 「うっう~♪のうかりんもゆっくりしていくんだぞぉ♪」 「「「「「「「「「「ゆっくりしていくんだぞぉ♪(だどぉ♪)」」」」」」」」」」 近づいてきたのは、麦わら帽子をかぶった黄緑色の髪をした少女。 しかし、この少女も実は胴付きのゆっくりなのです。 名前はのうかりん。 れみりゃ達とは非常に親密な関係を築いているゆっくりです。 れみりゃ達はのうかりんにとても感謝しておりました。 何故なら、れみりゃ達の食糧不足を補ってくれたのが、こののうかりんだったのです。 では、少し時計の針を巻き戻してみましょう。 れみりゃ達が住んでいる山は確かに食材は豊富です。 しかし、50匹のれみりゃ達を養いきれるものではありませんでした。 れみりゃ達が引っ越して来てしばらくした頃、急に食材が獲れなくなってしましました。 後先を考えずに獲りすぎてしまったのです。 れみりゃ達の集落は食糧不足に陥ってしまいました。 「う~…おなかすいたどぉ…」 「まんまぁ…れみぃぺこぺこだどぉ…」 「う~…まんまぁもぉ…」 「う~…」 「くか~くか~」 あっちでぐ~ぐ~、こっちでぐ~ぐ~、いびきでぐ~ぐ~。 まさにれみりゃ達の集落は崩壊寸前でした。 しかし、捨てる神あれば拾う神あり。 困っているれみりゃ達の前に現れたのが、のうかりんでした。 のうかりんは豊富な水資源があるこの近辺で、野菜や果物を作りたいと思っていたのです。 しかし、農作業に長けているのうかりんでも一匹では限界があります。 できるだけ大きな畑を作りたい、のうかりんはそう考えていたのです。 そんな時、50匹のれみりゃ達を見つけたのでした。 見ればれみりゃ達は空腹な様子。 慌てて自分の畑に戻り、沢山の野菜を大きなザルに詰め込み、れみりゃ達の元へ持ってきたのでした。 「おめぇら、お腹すいてるっぺ?」 「う~…?」 「だれだぞぉ…?」 「げんかくだどぉ…?」 「れみぃのまえにみどりいろのぷっでぃんがみえるどぉ…」 「くか~くか~」 突然現れた見知らぬ謎のゆっくり。 空腹のあまり、のうかりんが大好きなプリンに見間違えてしまうれみりゃも中にはいました。 「良かったらこれ食べないっぺか?」 「う~?」 のうかりんが差し出したのは、大きなザルに入っている色取り取りの野菜でした。 ぷ~んと甘いサツマイモの匂いがれみりゃ達の鼻へと届きます。 れみりゃ達は夢中でザルの中の野菜に手を伸ばしました。 「がぶっ!…おいしいぞぉ!!ゆっくりできるぞぉ!!」 「おちびちゃ~ん♪いっしょにたべるどぉ♪」 「う~う~♪あ~んだどぉ♪」 「れみぃがこれたべるのぉ!!」 「それはれみぃのなのぉ!!」 「沢山あるから喧嘩しないで食べてけろ~」 「くか~…あまあま…くか~…」 のうかりんが持ってきてくれた野菜は、取れたてで新鮮で非常に美味でした。 甘味が好きなれみりゃ達には、特にサツマイモが好評だったようです。 あまりの美味しさにサツマイモを取り合って喧嘩してしまうれみりゃや、寝ながら食べるれみりゃもいました。 寝ながら食べて喉に詰まらないのでしょうか? 「「「「「「「「「「ごちそうさまでしたぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」」」」」 「お粗末さまだっぺぇ」 ここまで美味しそうに食べてくれると、のうかりんも嬉しくなりました。 自身の作った野菜でれみりゃ達にゆっくりしてもらうことは、のうかりんもゆっくりすることが出来たのでした。 そこで、のうかりんは思いつきました。 このれみりゃ達に手伝ってもらえば、自分はもっと大きな畑を作ることが出来るのではないか、と。 「なぁ…こんなかにリーダーはいないっぺ?」 「う~♪れみぃがいちばんのおぜうさまだぞぉ♪」 れみりゃザウルスが可愛く手を上げ、のうかりんにゆっくりと近づいて行きました。 「なぁ…これからも野菜分けてあげてもいいっぺよ…」 「ほんとだぞぉ!?」 れみりゃ達にとって、降って湧いたような幸運です。 中にはあまりの嬉しさに踊りだしてしまうれみりゃもいました。 「だけどぉ…私のちっちゃな畑じゃあ、この数のれみりゃは養いきれないっぺ…」 「…う~?そうなのぉ?」 「だからぁ…あんた達が私の畑手伝ってくれないっぺ?そしたら野菜も分けてあげられるっぺ…」 「う~!そんなのでいいんだったられみぃたちにお・ま・か・せだっぞぉ♪」 「「「「「「「「「「う~!!」」」」」」」」」」 「くか~…う~…くか~」 他のれみりゃ達も、れみりゃザウルスの言葉に同意します。 一匹だけ寝たままのれみりゃもいましたが、勿論そのれみりゃも同じ気持ちです、多分。 それだけ、のうかりんの野菜は本当にゆっくり出来たのです。 これからものうかりんの野菜を食べ続けて行きたい、れみりゃ達の気持ちは一つにまとまっていました。 まさにれみりゃ達の利害とのうかりんの利害が合致したのです。 「そうかぁ?じゃあよろしくたのむっぺなぁ」 「こちらこそだっぞぉ♪」 「「「「「「「「「「のうかりん!よろしくだっぞぉ(だっどぉ)!!!!!」」」」」」」」」」 「くか~くか~」 とはいえ、最初は上手くいきませんでした。 それもそのはず、れみりゃ達は農作業は初めてだったのです。 しかも道具も少ないので、畑を耕す時はその柔らかそうな手で耕さなければいけませんでした。 「う~…おてていたいどぉ…」 「おててまっかだぞぉ…」 「ふ~ふ~してもひりひりするどぉ…」 「そこの3匹!何サボってるっぺ!!まだノルマが終わってないっぺ!!」 「「「あぅ~!!!」」」 普段は優しいのうかりんも、自身の畑の事に関しては非常に厳しくなります。 最初の頃のれみりゃ達はのうかりんに怒られてばかりでした。 このれみりゃ達も、それなりに過酷な環境を生き抜いてきました。 しかし、のうかりんの畑の農作業はそれを遥かに上回る過酷さだったのです。 当然、反発するれみりゃも出てきました。 「もういやだっぞぉ!!もうやめたっぞぉ!!」 「ほう…じゃあおめぇはお野菜抜きだな」 「どうしてだぞぉ!!」 「働かざる者食うべからずだっぺ」 「うぅ~…」 「そんじゃあ飢え死にしないよう気を付けるっぺな」 「…れみぃもういちどやるぞぉ…」 れみりゃ達は、あの食糧難がトラウマとなって心に刻まれていました。 御飯を食べられないことは全くゆっくり出来ない、それはどのれみりゃにも理解できていたことでした。 そして、ここでのうかりんの畑を手伝わないと、御飯にありつけないということも。 「良い子だっぺぇ。ちゃんとお野菜あげるからな。心配すんな」 のうかりんは手袋を脱ぎ、笑顔でれみりゃの頭を撫でてくれます。 それはれみりゃをとてもゆっくりさせてくれたのでした。 「なぁでなぁで…ゆっくりできるぞぉ…う~♪う~♪」 撫でられたれみりゃは頬に手を当て、横に身体を震わせます。 余程気持ち良かったのでしょう。 そして、それを羨ましそうに見ていた他のれみりゃ達。 「れ、れみぃもおしごとやめたどぉ!!」 「ぷ、ぷ~んだ!れみぃにもなぁでなぁでしてくれないのうかりんはばぁ~かばぁ~か!」 「れみぃもおやさいとなでなでがほしいぞぉ♪」 「べ、べつにのうかりんのためなんかじゃないんだぞぉ!!」 次々と仕事を投げ出すれみりゃ達。 魂胆はのうかりんにも見え見えだったのですが。 「コラ~!!サボるんじゃねぇ!!」 「「「「う~!!わかりましたぁ~!!」」」」 のうかりんの声にワクワクしながら答えるれみりゃ。 いつ自分は撫で撫でしてもらえるのだろうと。 しかし、のうかりんは背を向けて立ち去って行ってしまいました。 「じゃ、しっかりな。私は他の畑を見て来るっぺ」 「「「「どぼじでなぁでなぁでしてくれないのぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」 「いちいち50匹も撫でてられるか!!あほぉっ!!」 そんなこんなもありましたが、れみりゃ達の努力もあり、畑も立派になってきました。 そして月日が経ち、今日がれみりゃ達にとって初めての収穫の日になりました。 時計の針を元に戻しましょう。 「御飯食べたら早速収穫するっぺ」 「「「「「う~!!」」」」」 嬉しそうに返事をするれみりゃ達。 れみりゃ達はこの収穫の日を楽しみにしていたのです。 自分達が育てた野菜はどのようなカリスマな野菜に育っているのかと昨日からワクワクしたのです。 と、そんなことを話している間にれみりゃ達の朝御飯も終わってしまったようです。 「「「「「「「「「「ごちそうさまでしたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」」」」」」」」」」 焚き火の火を消して、皆がそれぞれ立ち上がります。 食後のダンスを踊るれみりゃも中にいました。 皆が食べ終わったことを確認すると、のうかりんが一つ大きな声を上げました。 「じゃあ早速行くっぺ!!」 「「「「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」」」」 のうかりんを先頭に、れみりゃ達が畑に向かって歩き出します。 のうかりんもれみりゃ達に手伝ってもらった事で大きくなった畑の収穫の日を楽しみにしていました。 自分達が育てた野菜はどのようなものか。 のうかりんも非常にワクワクしていました。 畑に着くと、そこは一面の野菜だらけ。 「うぁぁぁ…」 れみりゃ達はその光景に驚くばかりです。 といっても、今日初めて見た訳ではないのですが。 「アホみたいに呆けてないで早速収穫するっぺ。ほれ、散った散った」 パンパンとのうかりんが手を叩くと、れみりゃ達があっという間に散開します。 自分の持ち場である畑に向かって行ったのです。 「いいかぁ!?草さんの周りを一所懸命掘るんだっぺぇ!!芋さんが見えてくるっぺ!!」 「「「「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」」」」 それぞれのれみりゃが近くの畑を掘りますが、なかなか芋を見つけられません。 上手く掘れていないのです。 「う~…」 「みつからないどぉ…」 「れみぃのかりしゅまなおやさいがぁ…」 「(う~ん…茎が邪魔で上手く掘れないみたいっぺなぁ…どうすっぺ…)」 本来なら、サツマイモの収穫をする前に茎を切る必要があります。 しかし、今の畑は非常に広大。 道具も少ない状態で切ることは難しかったのです。 ここまで畑が大きくなることは、のうかりんにとっても少々誤算でした。 れみりゃ達がここまで働いてくれるとは思わなかったのです。 そして、のうかりんが手を出さないのは親心からです。 れみりゃ達がこの日を楽しみにしていたことは、のうかりんも知っています。 この集大成の日は出来るだけれみりゃ達にやらせてあげたかったのです。 彼女達がいなければ、ここまで広々とした畑を作ることが出来なかったのですから。 と、のうかりんが色々と考え事をしていた時 「うぁ♪とったどぉぉぉぉぉ!!!!」 歓喜の雄たけびを上げたのはちっちゃな子れみりゃ。 その右手には、紅い物体が握られています。 サツマイモです。 初めて収穫に成功したのは、この子れみりゃでした。 「おちびちゃ~ん♪すごいどぉ♪」 隣にいた親れみりゃも鼻高々のようです。 余りの嬉しさに踊りだしてしまいました。 「うあっ!!」 「あったぞぉ!!」 「うっう~♪」 次々と畑の中の芋は見つかって行きました。 大量にサツマイモを掘り出すことが出来て、嬉しそうなれみりゃ達。 その光景は、のうかりんをゆっくりさせてくれたのでした。 全ての野菜の収穫が終わる頃には、すでに辺りは暗くなりかけていました。 れみりゃ達の目の前には山盛りのサツマイモやその他の野菜がありました。 「じゃあこの野菜あげるっぺ」 「こ、こんなにもらっていいのぉ!?」 「れみりゃ達が手伝ってくれたおかげだっぺ。私は人里で売る分があれば十分だっぺ」 のうかりんは食料に困っていた訳ではありません。 のうかりん一人分の食糧など、この山には沢山あるのですから。 あくまで大きな畑を作りたかっただけなのです。 「あ、ありがとうだぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」 「「「「「「「「「「ありがとうだぞぉ(だどぉ)!!!」」」」」」」」」」 「うわ、50匹同時に抱きついてくるなっぺぇぇぇぇ!!!潰れるぅぅぅぅぅ!!!!!」 嬉しさのあまりにのうかりんに抱きつこうとする50匹のれみりゃ達。 のうかりんは少々苦しそうでしたが、心の中ではとてもゆっくりできていました。 そして、お日様がすっかり沈んでしまった頃、れみりゃ達とのうかりんの晩餐会が始まりました。 「うっう~♪うぁうぁ♪」 「かりしゅま☆だんすぅ~♪」 「くか~くか~」 「れみりゃ達は踊るの大好きだっぺなぁ」 「うっう~♪のうかりんもいっしょにおどるどぉ♪」 「仕方ないっぺなぁ。今日だけだっぺ」 そして、のうかりんも交えたダンスパーティーが始まりました。 それはそれはとてもゆっくりできるものなのでした。 「じゃあそろそろ帰るっぺ」 「ばいばいだぞぉ♪」 「「「「「「「「「「ばいばいだぞぉ(だどぉ)♪」」」」」」」」」」 50匹のれみりゃ達がのうかりんの背中を見送ります。 さて、れみりゃ達もそろそろ就寝タイムに入ります。 「うっう~♪みんなぁ♪おねむのまえのおいのりタイムだっぞぉ♪」 「「「「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」」」」 おや、れみりゃ達は何かをするつもりのようです。 一体何をするのでしょうか。 れみりゃ達が何かを呟きながら胸に手を当ててお祈りしております。 一体何を呟いているのでしょうか。 「さくやぁ…」 「れみぃたちはここにいるぞぉ…」 「さくやのあまあまぷっでぃんたべたいどぉ…」 「きょうもさくやのおかげでゆっくりできたぞぉ…」 れみりゃ達は、さくやに対してお祈りをしているのです。 ほとんどのれみりゃはさくやと出会うことはありません。 しかし、れみりゃ達の間ではこう語り継がれているのです。 さくやに出会えたれみりゃはとってもとってもゆっくり出来る、と。 それ故、れみりゃ達の間ではさくやはお祈りをする対象となっているのです。 本物の紅魔館のメイド長がそれを知ったらどのような顔をするのでしょうね。 「さぁて、みんなねるぞぉ♪」 「「「「「「「「「「うっう~♪」」」」」」」」」」 咲夜へのお祈りが終わると、今度こそ就寝タイムです。 各自ゆっくり出来る場所を決めると、その場で横になり眠ってしまいます。 「う~…おなかいっぱぁい…」 「ふぁぁぁぁ…う~…」 「くか~くか~」 「さくやぁ…」 皆とてもゆっくり出来た顔をして眠っています。 さくやに出会えた夢を見ているれみりゃもいるようです。 とても嬉しそうな顔をしたまま眠っていますね。 一日を終えた50匹のれみりゃ達の集落。 誰もがゆっくりしたいと思い、集まったれみりゃ一同。 これから何処に向かい、何処に行こうと言うのでしょうか。 それは誰にもわかりません。 ただ、一つだけ言えることがあります。 このれみりゃ達はずっとずっとゆっくりしていけるでしょう。 ずっとずっと…。 一匹ほしい -- 名無しさん (2011-03-14 20 20 27) チルノフがいい味だしてますね。 きっと心の中では「ゆっくりしていってね!!!」って言ってると思う。 -- 名無しさん (2011-04-10 16 46 31) 俺は毎日れみりゃにお祈りしているがな。 -- 名無しさん (2011-10-11 00 16 11) お互いに支え合うゆっくりの生き方はとても面白かったですが のうかりんがやや贔屓されてますね -- 名無しさん (2012-06-28 15 47 58) 名前 コメント
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れみりゃ ランク:C(特殊) S(東方二次創作) 属性 ・性別不明 ・ゆっくり 敗北条件 自分を食べたことのあるキャラクターか西行寺 幽々子が生きていると敗北 能力値 ESP能力レベル 4 ESPパワー 20 耐久力 5 精神力 4 特殊能力 ・うー![戦闘][主要][攻撃][E] [LV:X 火力:X×5]で対象1体に攻撃を行う。 X=自分が戦闘に参加しているラウンドの数 ・うー!うー![戦闘][対抗(攻撃)] この能力は格闘攻撃に対しては使用できない。 1D6を振る。1以下が出た場合、対象の攻撃を回避する。 ・たーべちゃーうぞー![戦闘][格闘(白兵):1] このキャラクターは格闘武器を使用できない。 ・れみ☆りあ☆うー![戦闘前] この能力は能力名を宣言することで使用できる。 自分以外のキャラクターはチェックフェイズに精神力チェックを行う。 その精神力チェックに成功するまで、もしくはこのキャラクターの攻撃対象に選択されるまでは このキャラクターを攻撃することができない。 ・肉まん[死亡時][常動] このキャラクターに止めを刺したキャラクターは このキャラクターを食べ、耐久力が全回復する。 備考 このキャラクターへの意見 名前 コメント
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「うっう~~♪ れ~みりゃ~だどぉ~~♪」 最高級の不協和音が聞こえた俺は、何の気なしに後ろを振り向いた。 「うっう~~♪」 「うあうあ~~♪」 そこには、やはりれみりゃが居た。 しかも二匹。 二匹とも紅魔館のれみりゃなのだろう、日傘をエッチラオッチラ運びながら、その顔は何かやり遂げたような、そんな顔をしている。 どうせ帰ったら八つ裂きだろう。 以前近くで野苺を摘んでいたらそんな声が聞こえてきたから。 なら、俺が一思いに実験してやろう。 「二人とも、ぷっでぃ~~んたべる?」 一瞬、驚いたような顔をした二匹だったが、互いに顔を見合わせて大声で叫んだ。 「「う~~♪ れみりゃはぷでぃ~~んたべるど~~~♪」」 近頃は、霊夢達もワンクッションおかないと付いてこないというのに、こいつらはホイホイ付いてくる。 まさに、ゆっくりらしいゆっくりだ。 「さぁ、ここがおにーさんのお家だよ」 「う~~♪ ちいさいど~~~♪」 「こ~まかんのほうがおおきいどぉ~~♪」 家に上がりこむなり、好き勝手に言い放ちながら中を蹂躙する二匹。 「う~~~♪ ごっほぉんだどぉ~~」 「う~~♪ らぁんぷ~だど~~♪」 まな板と玉子を手にとってなにやら嬉しそうにはしゃぎ回っているが、これ以上モノが壊されないうちに仕掛けようと思う。 「お~い!! お前達は紅魔館のお嬢様なのか?」 「「う~~♪ れみりゃはこ~まがんのおぜうざまだどぉ~~~♪」」 さも当然のように答える二匹だが、俺はこれっぽっちも信じていない。 この二匹の紅魔館は、一体どこに有るのだろう。 それでも、この言葉は好都合だ。 「そうだろ。だったら髪も綺麗だと思ったんだよ」 「「う~~♪ れみりゃのかみはしるぐのよぉ~にきれいだどぉ~♪」」 「それじゃあ、専用のスタイリストが居るのかな?」 「う? じゅだだいずと?」 「う~。 ずだーじど?」 聞いた事ないのも当然か、こいつ等髪伸びないし。 「髪の毛を綺麗にしてくれる人の事だよ。君達も、由緒正しい紅魔館のおぜうさまならその人に切って貰って居るんだろ?」 「う~♪ おぜうさまじゃないどぉ~♪ おぜうさまだどぉ~~♪」 「れみりゃのかみはきれいだどぉ~♪」 「そうだね!! でもおじさんがもっとかっこよくしてあげるよ!!」 「「う?」」 そういって、一枚のカタログを二匹に見せる。 そこには、髪をカットしていく様子が事細かに書かれている。 「「うーーーーーー!!!!!」」 大きく目を見開いて、その写真を眺める二匹。 どうやら、動機付けは成功したらしい。 「どうだい? おにーさんがかみを切ってあげようか?」 「うっう~~~~はやぐきっで~~~♪」 「う~~♪ かわいくきゅ~どにするんだどぉ~~~♪」 うん、それ無理だから。 「それじゃあ、最初はお前から。ここに座って」 「う~~~♪」 無造作に一匹を選んで椅子に座らせる。 鏡を前において、スキバサミを入れていく。 「う~~~♪ きれでないどぉ~~~♪」 ハサミが入ったのに見た目には変わらないので不思議がっているらしい。 「これはね、少しずつ切っていくんだよ。ほら、髪の毛は切れてるだろ?」 「う~~♪ れみりゃはきゅ~~どになるど~~~♪」 その後、数回はさみを入れて終了。 「どうだい?」 「う~~~♪ きゆ~どだどぉ~~~♪ うっう~~~うあうあ~~~♪」 見た目にはぜんぜん変わっていない髪形を見せられたれみりゃは大喜びでダンスなぞを踊っている。 「それは良かった。それじゃあ、君がもう一人の髪を切ってみたらどうだい?」 「う~~♪ れみりゃはてんさいだからかっごよくきれるど~~~♪」 「う~~♪ はやくきるんだどぉ~~♪」 帽子を外し手早く椅子に座らせ、一匹にはさみを持たせる。 「う~~~♪ じょっきん♪」 根元から思いっきり行ったが、スキバサミなので見た目は殆ど変わらない。 「「う~~~♪ かっこよくなったど~~~♪」」 鏡を見ている本人と、切っているヤツ。 二匹ともビックリするようなほど上機嫌になっている。 お目出度い頭だなァ。 「おっと、こっちのはさみを使ったほうが、紅魔館のお嬢様として最高だよ!!」 「う~~♪ はやくよこすんだどぉ~~~♪」 手早く俺の手からはさみを奪い取ったれみりゃは、丁寧に髪にはさみを入れ……きった。「「あああああああ!!!!」」 前髪が綺麗になくなったのを見て、絶叫する二匹。 予想通り。 「あああーーー!!! れみりゃのきゅーどなかみがーーー!!!」 「ああああ!!! どうしでーーーー!!!!」 うんうん、俺も初めの頃にやったよ、スキバサミとカットバサミを間違えるのは。 「あーあ。天才なのに失敗しちゃったんだ~」 「!! うーーー!! ちがうぞーー!! もうずごしでうまぐいぐんだぞーーー!!」 チョッキンチョッキン♪ 「あああーーー!!! やめでーーー!! やめでーーーー!!!」 「うーー!! なんでかっごよぐならないのーー!!」 見る見る間に、一方のれみりゃの髪の毛がドンドン減っていく。 「うーーー!! なんでふえないのーーーー!!!」 「うあーーー!! やめでーーーちょっぎんしないでぇーーー!!!!!」 もはや両方涙目。 見ているほうとしては楽しくて仕方が無いと言った状況だ。 「うーーー!!! どーーじでーーー!!!!」 「うう!! うあーーーーーーーー!!!!!!!!」 とうとうハサミでは切れないくらいまでにバッサリと切られた一方のれみりゃの髪の毛。 まさに本人たちからすれば、かなり衝撃的なのだろうが、見ているこっちはとても楽しい。 「うわ!! ひどいなぁこれは。こっちのれみりゃは可哀相に……」 おそらく十回くらい転生しても使わないであろう言葉を使って、坊主頭のれみりゃを慰める。 「うーーー!!! れみりゃのきゅーーどでぷりでーーなざらざらへあーがーーー!!!」 「うーーごめんだどぉーーー!!! ごめんだどぉーーー!!!」 必死で謝っている所を見ると、仲間意識はあるのかもしれない。 「こんな酷い事をするれみりゃにはお仕置きだな!!」 「う? いやだどぉーー!! はなすんだどぉーーー!!!」 「だまれ!!」 「うぎゃ!!!」 暴れるれみりゃを捕まえて、髪を切っていく。 使う道具はバリカン、長く不快な髪の毛がドンドン地面に落ちていく。 「あああーーー!!! れみりゃのかみのけがーー!!!」 もう一匹のれみりゃと瓜二つにした所で、剃刀を取り出して仕上げをする。 「うああーー!! やめるんだどぉーーー!! やめるんだどぉーー!!!」 お前達はもうちょっとボキャブラリーを多くしたほうが良いよ。 その方が面白いから。 「はい出来上がり。見てごらん。すっごくに有ってるよ」 「う~~? !!!! うあーー!! ざぐやーーー!! ざぐやーーーー!!!」 自分の姿を見たれみりゃは大興奮で叫び出した。 ツルツルな頭がとっても気に入ったようだ。 「う~~♪ れみりゃのかみのけをめじゃくじゃにしたばつだどぉ~~♪」 「じゃあ今度は君の番ね」 「いやだどぉーーー!!! やめるんだどぉーーーー!!!!」 いやいやながら涙を上げて喜んでいるもう一匹の失敗れみりゃの髪も、キチンをツルツルにして上げた。 「よく似合ってるよ!!」 「「れみりゃのかみのげがーーーーー!!!!」」 仲良く頭に手を当てて、目を真ん丸くして泣き叫ぶれみりゃを眺めるのは良いことがだ。 主に心が癒される。 「「うーーー!! れみりょのぷりっでぃーーなぼーじかえじでーーー!!!」」 「これのこと?」 「「う~~~♪」」 どうしてここまでシンクロするんだろう? やっぱり馬鹿で単純だからか? 「そんなに生かす髪型なんだから、もういらないよね? ポイするよ!! ポイッとな」 「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!! れみりゃのおぼーじがーーーー!!!!」」 ビリビリに引き裂いて、薪代わりに囲炉裏の中へ入れる。 数刻のうちに灰に変わり果てた帽子をみて、二匹はこれ以上ないほどに泣き出した。 「うああーー!! れみりゃのぼうじーーー!!!」 「れみりゃのかみのげーーー!!!!」 やれやれ、煩い煩い。 「その方がかっこいいよ。きっとその格好で街に行ったら、いっぱいプリンをもらえるんだろーなー」 ……やっぱり切り替えが早いようだ。 「う~~~ぷりんじゃなくで、ぷっでぃ~~んだどぉ~~~♪」 「う~~~♪ まちにいくどぉ~~~~♪」 仲良く玄関から出て行く二匹に向かって、俺は最後の言葉を投げかけた。 「あっちの方向に、れみりゃ大歓迎のお店があるよ!!」 二匹は仲良く踊りながら、食品街へと向かっていった。 このSSに感想を付ける
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ゆっくりれみりゃのおかしな友達 上 「がおー! たーべちゃーうぞー!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆゆ゛っぐりじでっでねぇぇぇ!!!」 胴付きゆっくりみれりゃの前で、ゆっくりれいむが悲鳴を上げている。 目をカッと見開いて口をあけ、わなわな震えておびえている。 ここは魔法の森の一角。紅魔館から飛んできたれみりゃの一匹が、一人で楽しく遊んでいるゆっくりれいむを見つけて、今まさにごちそうになろうとしているところ。 よくある光景ではあった。 「がおがお、がおー♪」 「ゆゆゆっ、ゆぐっ、ゆぐぅ! ゆっぐりぎでねぇぇ!」 遊び半分におどかすと、ゆっくりれいむは死に物狂いで逃げ出す。がさがさと茂みを突っ切り、ぽよんぽよんと石を乗り越え、みっともなくごろごろと転がって逃げる。赤いリボンが外れかかって、ぶらぶらと後ろにたれている。 それがれみりゃには、とてもおもしろい。 翼のあるれみりゃは、れいむよりずっと速く移動できる。れいむの苦労などまるでわからない。 ――にげるにげる、あかいの、にげるー。 ――あはは、ごろごろー。 ――ぽよぽよ、おいしそー♪ 紅魔館のまわりには天敵もいないので、れみりゃは追われるものの恐怖も知らなかった。無力なものを追い回す楽しみだけを味わっていた。 しばらく飛び続けていると、だんだん疲れが溜まってきた。れみりゃは軽い気持ちで決める。 ――もういいや、たべちゃおー♪ さっと降下して、れいむに襲い掛かろうとした、そのとき。 「ガウワウッ、バウッ!」 「いだあああ゛あ゛あ゛あ!?」 木陰から、突然黒いものが飛び出し、れみりゃに襲い掛かった。 「ゆっ、ゆゆ゛っ!?」 突然背後で起こった騒ぎに驚いて、ゆっくりれいむは行き足を止めた。 振り返ると、毛むくじゃらの生き物が、今まで追いかけていた空飛ぶこわいゆっくりに噛み付き、地面に押し付けていた。 野犬だ。魔法の森にも、数は少ないが普通の動物はいる。そのうちの一頭だった。 ただ、野犬にしてはいくらか体が小さい。大人になる前の、子供の犬らしかった。 「ガウ、アグウウウ……!」 「いっ、いだああああ! やめで、たずげでざくやあぁぁぁ!」 れみりゃはバタバタと羽をもがき、身をよじって泣き叫ぶ。だが野犬はれみりゃの腕に噛み付き、ギリギリと締め上げている。漏れ出る肉汁に食欲をそそられているらしい。尻尾を大きく振っていた。 それを見て、ゆっくりれいむは歓声を上げる。 「ゆゆっ! ゆっくりしにそう? ゆっくりしんでね! ゆっくりくるしんでね!」 ざまあみろと言わんばかりにぴょんぴょんと跳ねた。自分を食べようとしていたれみりゃが、もっと強いやつに食べられかけている。いい気味だった。 若い野犬は、れみりゃのもがきに、遊び心を刺激されたらしかった。いったん口を離して、れみりゃをくわえなおそうとする。その一瞬に、れみりゃは体をもぞつかせて逃げ出した。羽をばたつかせ、ふらふらと飛んでいく。 「がえる、おうぢがえるぅぅ!」 だが方向が悪かった。そちらには高さ三メートルほどの崖がそびえていた。泣きながら飛んでいたれみりゃは、その崖にごちんと頭をぶつけ、ころりと地面に落ちた。 そこへ走ってきた野犬が再びうれしそうにかみつき、びたんびたんと地面に叩きつけ始めた。 れみりゃの絶叫が響く。 「いぎゃぁぁ! いやっ、ざぐやっ、ざぐやぁぁぁ! いだいいだい、いだやぁあぁ!」 「ゆゆゆっ、ゆっくりいたがってる! ゆっくりしぬのねー!!!」 ゆっくりれいむは、何度も飛び跳ね、振って湧いたこのスペクタクルを見物した。 れみりゃの苦しみは、なかなか終わらなかった。若い野犬はよほど気に入ったのか、いつまでたってもとどめを刺そうとしなかったのだ。噛んでは投げ、飛ばしては捕まえ、弾き飛ばしては追いかける。 れみりゃはぼろぼろになり、肉汁をまき散らし、土ぼこりにまみれて、見る影もない姿になった。 「や゛あ゛あ゛……ざぐやぁ……なんでぎでぐれないのぉ゛……」 泣き声だけは続いている。半端に生命力が高いため、死に切れないのがれみりゃの不幸だった。 それを見つめるれいむは、いつの間にか、騒ぐのをやめていた。 「ゆっくり……ゆっくりすぎるよね……」 ゆっくりれいむはたいして頭がよくないし、我がままで自分勝手なところもある。 だが、苦しむ者を見ていつまでも嬉しがっていられるような、残虐さは持ち合わせていなかった。 むしろ、頭がよくないため、少し前のことよりも目の前の出来事が重要に思えてきた。 れみりゃが可哀そうになってきたのだ。 「ゆゆ……ゆっくり、したいよね……?」 れいむは周りをきょときょとと見回して、あることに気づいた。 崖の上に、何かが見えることに。 「ゆ、ゆっくり行くよ……!!!」 もぞもぞぴょんぴょんとゆっくりれいむは動き出した。 れみりゃは絶望していた。 体中を噛まれ、振り回され、元気のもとである肉まん汁をじゅうじゅうと吸われて、すっかり弱ってしまった。どんなに呼んでも咲夜はこなかった。 ――さくやのいじわる…… ――れみーがよんでもこないなんて、さくやなんかもうきらい。 ――さくやがこないから、れみー、もうしんじゃうから……。 「おぎゃっ!!」 薄れ行く意識ごとすさまじい力で引きずられ、崖にべしゃりと叩きつけられた。ハァハァと犬の臭い息がかかった。 ――そういえば、あのあかいの、どうしたかな。 ――あかいの、たべたかったなぁ……。 最後に、脳裏にゆっくりれいむの姿が浮かんだとき。 ゴツンと硬い音がするとともに、拘束が解けた。 「キャアンキャウン!」 れみりゃが目を開けると、野犬を尻尾を巻いて逃げていった。 かたわらに、一抱えもある石が落ちていた。それが野犬の頭に当たったらしい。 「う、ううー?」 れみりゃは目をぱちくりさせた。れみりゃの知能は、ゆっくりれいむよりも低い。れいむを六歳児とするなら、れみりゃは三歳か、いいところ四歳児ぐらいの知恵しかないのだ。 れみりゃにわかったのは、臭くて怖いあの生き物を、誰かがやっつけてくれた、ということだけだった。 そんなことをしてくれるのは、一人しかいないはずだ。 「さくや!? さーくーやー!」 れみりゃは顔を輝かせてあたりをみまわした。しかし、期待に反して、銀髪のメイドの姿はなかった。 「……さくやー?」 きょとんして顔を上げたとき、ちらりと赤いものが目に入った。それは、崖の上にいた。 ――けれども、一瞬で見えなくなった。 「……うー?」 咲夜がいなくて、赤いのがいる。 どういうことなんだろう? しばらく首をかしげていたれみりゃは、ふと、野犬に乗っている石に目を留めた。 石の割れ目に、赤いリボンが引っかかっていた。 † それからしばらくたったある日、れみりゃはまた魔法の森で、好物のゆっくりれいむを探していた。 ――おいしーあかいの、ほしいなー。 ――げんきなしろくろでもいーなー。 木漏れ日を縫って軽やかに飛翔していく――つもりでいるのは、本人だけ。 実際のところは、巣を出たての雛鳥よりも下手くそなはばたきで、ぱとぱとぱと、と進んでいる。それより遅いのは、獲物のゆっくりぐらいしかいない。 「たーべちゃうぞー♪ ……んうー?」 そんな彼女の目に、ある光景が映った。 仲間のれみりゃが、木の根元にしゃがみこんでウロを覗いているのだ。その中からは、引きつった叫び声が漏れていた。 「ゆゆゆゆっぐりあっぢへいっでねぇぇ!」 ――ごぁんだー♪ ゆっくりと言えば、れみりゃにとってはご飯でしかない。 少なくともこのときまではそうだった。 ぱとぱととー、と降下していって、仲間の隣に降りた。そこで、ぐいっと押しのけて中を覗き込んだ。 やはり、いた。紅白のゆっくりれいむが奥に隠れるようにして、目だけでこちらを振り向いている。 それを見たとき、れみりゃには何かが気になった。 ――うー? 普通のゆっくりれいむとは、違うような気がしたのだ。 しかし深く考えるまもなく、横からどんと押された。 「これ、れみーの!」 仲間のれみりゃだった。ぷんとほっぺたを膨らませてにらんでいる。 反射的にれみりゃも相手をどんと突き飛ばした。 「ちがうの、れみーのー!」 「だーめー、れみーの!」 「いっだあ、れみーのったられみーの!」 「もおおお、れみーのだってばぁ!」 「れみーのなの、あっぢいげー!」 どん、どん、と突き飛ばしあう。最終的にれみりゃは、そばに落ちていた木の枝を取って、ばちばちばちーっと闇雲に相手を叩いた。相手はうわ゛ぁん! と盛大に泣き出し、飛び上がってぱとぱとと逃げていった。 「ざぐやにいいづけでやるー!」 残ったれみりゃは、ふん、と胸を張って勝ち誇る。人や動物との争いならともかく、このようなれみりゃ同士の喧嘩では、咲夜は介入してこない。うんざりした顔で、なかよくしなさいね、と言うだけだ。だから怖くない。 ――やっつけたー♪ 勝利した嬉しさに満面の笑みを浮かべて、あらためて木のうろを覗き込んだ。 「うふふふ、たーべちゃーう――」 「ゆゆっ? あのときのひと!? たすけてくれたの?」 予想もしなかった言葉をかけられて、顔に笑みを貼り付けたまま、れみりゃは凍りついた。赤いゆっくりがもぞもぞと出てきて、ぴょんと小さく跳ねた。 「れいむ、あぶないところだったよ! ありがとう!!!」 「……う、うー?」 れみりゃは心底戸惑った。獲物のゆっくりに泣き喚かれたり、逃げられたりしたことはあっても、向こうから寄って来られた事は初めてだった。 「うー……?」 しばらくの間、どうしたらいいか首をひねって考えた。 「……うー」 答えは明らかだった。れみりゃの頭に、高等な知能は入っていない。 寄ってこようが逃げようが、することはひとつだ。 改めて向き直って、両手を挙げ、お得意のポーズを決めた。 そして言おうとした。「たーべちゃ……」 「ゆっ、なおってる! ゆっくりなおってるね!」 あごの下を覗き込んだゆっくりれいむが、にっこりと笑った。 そして舌でぺろっとあごの下を舐めた。 「……うううー??」 れみりゃはさらに戸惑った。自分のぷにっとした顔の下のそこは、傷跡だった。そこに牙を突き立てられ、危うく首をもぎ取られかけたときの記憶が、肉まんの底からじわじわと湧き上がってきた。 いくら三歳児並のれみりゃといえども、人生で最も死に近づいたあの出来事の恐ろしさは、忘れられるわけがなかった。強烈な記憶がフラッシュバックして、幼い彼女を襲った。 「ううう……うああぁぁぁん!!! あああ、ああ゛あ゛あ゛ん、ごあ゛い゛よー!」 見る間に涙をあふれさせて、ぺたんと地面に座り込み、大声で泣き出した。 「ゆ、ゆゆゆっ?」 今度はゆっくりれいむのほうが戸惑って、もぞもぞとれみりゃの周りを回りだした。 「どうしたの? なんにもこわくないよ! ゆっくりしていいよ!!!」 「あ゛あ゛ああ゛あ゛ああん、あ゛んあ゛ん、ざぐやあぁあああ!」 「な、なかないでね! ゆっくりなきやんでね?」 声をかけたが泣き止む様子もなかった。そこで、懸命にやわらかいほっぺたを押し付けて、腕や背中をふにふにとさすってやった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛ん、ああああん、ああああん……」 全力で泣いていたれみりゃは、次第に声を収めていった。咲夜はこなかったが、代わりに何かふにふにして温かいものが、寄り添ってくれていた。 「ゆっゆっ、ゆっくりおちついてきた?」 「う、うー?」 ぺたんと足を投げ出しているれみりゃの脇の下に、後ろからもぞもぞと入ってきたゆっくりれいむが、ひざの上にぼふんとあごを乗せて、見上げた。 「れいむがついてるから、こわくないよ!」 「れ……れーむ?」 「れいむだよ! あなたはだあれ?」 「……れみー」 「れみーもいっしょにゆっくりしようよ!!!」 「ゆっくぅー?」 「ゆっくりだよ!!! こうやってー……」 ゆっくりれいむはもそもそと近くの切り株に昇り、その上でうんっと力をためて、ぴょんと飛び上がった。 「ゆっくりー!!!」 「ゆっぐぃー?」 れみりゃが立ち上がって、とてとてと寄ってきた。れいむは教えたことの反応があったので嬉しくなって、もう一度、目を閉じてうーんと力をためてから、思い切り飛び上がって叫んだ。 「ゆっくりぃー♪」 「ゆっぐぃー!」 万歳、のようにれみりゃも手を伸ばして、叫んだ。れいむはすっかり得意になって、れみりゃの手をくわえて切り株の上に引っ張り上げた。 「もう一回、いくよー? せーの……ゆっくりー!!!」 「ゆっぐいー!!!」 二人同時にジャンプしたが、狭い切り株の上だったので、ぶつかり合って後ろへ転げてしまった。 ごろごろろん、と落っこちて重なり合う。 だが、すぐに起き上がって、二人ともけらけらと笑い出した。 「わあー、とってもゆっくりできるよぅ。れみーはゆっくりできる人だったのね!!!」 「ゆぐー、ゆっぐぅー」 れみりゃは不思議な楽しさを感じて、何度も万歳を繰り返し、ぴょんぴょんと跳ね回った。その後ろを、ゆっくりれいむも跳ねながら追い掛け回した。 「ゆっくりしていってね!!!」 ところがそのとき、上空から大きな声が聞こえてきた。 「お嬢様、お嬢様ー? どこですか?」 さくや? と思ってれみりゃは見上げるが、すぐに違うと気づく。この声は紅魔館の妖精メイドだ。咲夜のように心から可愛がってくれるのではなく、お義理でいやいや探している感じがありありと出ているので、よくわかる。 それを聞くと、れみりゃのそばにいた赤白のものが飛び上がった。 「ゆっ、だれかきたよ! れいむはにげるね!!!」 そう言って、もそもそと木立の中へ走り出した。 その後姿には、ゆっくりれいむのトレードマークであるはずの赤リボンが、なぜかついていなかった。 それを見たとき、れみりゃはようやく、相手と一度会ったことがあることに気づいた。だからさっき、木のうろの中で目にしたとき、変な気分になったのだ。 れみりゃは、一度見かけたゆっくりを、今までぜんぶ食べてしまっていた。 だから同じゆっくりと二度会ったり、ましてや遊んだりしたことは一度もない。 今のゆっくりれいむは、れみりゃが知らなかった気持ちを教えてくれた。 顔なじみという気持ち、一緒に何かをするという気持ち。 ――れーむ? それは、その名前とともに、れみりゃの心の中に、不思議な温かい思い出となって染み付いた。 「ああ、いたいた。おやつだから早く戻れってメイド長が言ってますよ」 降りてきた妖精メイドに抱かれながら、そのれみりゃはぽてぽてと森に向かって手を振っていた。 †† ぱとぱとと翼をはためかせて、ゆっくりれみりゃは降りていった。 魔法の森の小さな空き地だ。真ん中に切り株がある。そこに立つと、生い茂る草になかば埋もれた、小さな木のうろが見えた。 あれから三日。 ここ数日は紅魔館の周りでおとなしくしていた。しかしその間、どうもおもしろくなかった。咲夜に手製のプリンをもらったし、迷い込んできたゆっくりまりさを食べておなかも膨れたのだけど、何か物足りなかった。 あの変なのびのせいだと思った。一人で何度も、のびをしてみた。 ――ゆっぐぅー。 ――ゆっぐぅー。 でも、ぜんぜん楽しくなかった。何かが足りなかった。 それがここにあるような気がして、今日は空き地にやってきたのだ。 「ううー……」 切り株にぽてっと座って、何かが起こるのを待った。五分ほどたつと木のうろに行ってそこを覗いた。誰もいなかったので、切り株に戻ってまた五分待った。それからまた木のうろを覗いた。 そんなことを、四回繰り返した。 たった五分やそこらで何かが起こるわけがないのだが、幼いれみりゃにそんなことはわからない。すぐかんしゃくを起こすわがままなれみりゃにとって、五分はむしろ、長い。 それを四回も繰り返したのだから、れみりゃは飽きが来てしまった。 ――なんにもこなーい。 ――つまんなーい、おうちかーえろっと。 ぱとと、と飛び上がって旋回した途端。 ウロのある木とは正反対の方角で、木に隠れてじっとしてる赤いものを見つけしまった。 「ううー!」 思わず叫び声を上げて、急降下する。赤いものが、びくっと震えるのが見えた。 れみりゃは、赤い房飾りをつけたゆっくりれいむの前に舞い降りた。れいむはおびえたような顔で、小刻みに震えている。 「うー……?」 「ゆ、ゆ、ゆ……」 つかのま、奇妙な見つめあいが合った。これが他の場所で起こったなら、即座にハンティング開始なはずの組み合わせだ。 ぷるぷる震えていたれいむが、おそるおそる言った。 「ゆ、ゆっくりできる人……?」 れみりゃは、そのれいむの頭にリボンがないことに気づいた。 このひとだ、とつたない記憶がささやいていた。 身を縮めて、力をためた。 「ううーん――」 さっと万歳して、笑ってみた。 「ゆっぐぃー!」 そのとたん、相手の顔がぱっと輝いた。 「れみぃ! れみぃなのね!」 「れーむ!」 「ゆっくりしに来たのね! ゆっくりしようね!」 きらきら輝くような笑顔になったれいむが、ぴょんぴょんとれみりゃの周りを回って、「ゆっくりー!」と頬をこすりつけてきた。 「ゆっぐぃー、れーむとゆっぐぃー!」 れみりゃもにこにこと笑いながら、れいむと押し合った。 とてもうきうきした。これがしたかったんだ、と思った。 その日から、れみりゃとゆっくりれいむの、不思議な関係が始まった。 れみりゃが切り株にやってきて、「ゆっぐぃー!」と踊ってみせる。するとゆっくりれいむが現れて、「ゆっくりしていってね!!!」と挨拶する。 それから二人でいろいろな遊びをした。 鬼ごっこは、れみりゃのほうが圧倒的に得意だった。のてのてと逃げ回るれいむを捕まえるのは朝飯前だった。 れいむが鬼になると、れみりゃはぱとぱと飛んで逃げる。すると、れいむが地上をぴょこぴょこ跳ねて、「ゆっくり跳んでね、ゆっくりおりてきてね!!!」と必死になってついてくる。 地上に降りてしばらく待ち、れいむがはあはあ言いながら走ってきて、いざタッチ! というときにふわっと飛んで逃げた。するとれいむは勢いあまってころころとつんのめった。 そしてほっぺたを膨らませて怒るのだった。 「れみぃはとんでばっかりでずるいよ! ゆっくりあるいてね!」 「とばないでってば! もう、もうー、ゆっぐりじでよお゛お゛お゛!」 半泣きになって叫ぶれいむを見るのは、すごく楽しかった。れみりゃは手をぱちぱち叩いて、きゃっきゃと喜んだ。 しかしれみりゃにしても、とぶのが本当にうまいわけではない。三度に一度は、とっさのところで逃げ損ねて、つま先をがぷっと噛まれてしまった。 「やったよ、れみぃのおにだよ! ゆっくりついてきてね!」 そしてぴょんぴょん逃げ出すれいむを、もう一度追いかけるのだった。 かくれんぼもやった。これはれいむのほうがうまかった。れいむが本気で隠れると、れみりゃにはなかなか見つからなかった。最初にやったときはあまりにも見つからなかったので、れいむが帰ってしまったと思って、れみりゃは泣き出した。 「うあーあーー! れいむ、れ゛ーい゛ーむ゛ーー!」 「ゆゆっ? 泣かないでいいよ、ゆっくり隠れていたよ!」 出てきたれいむが教えてくれた。 「あのね、もーいーかーいってきくんだよ!! もーいーかーい!」 「もーかーい!」 「もーいーかーい!」 「もーかー! もーかーいー!」 れいむは向こうへ行って、木の陰からぴょこりと顔を出して言った。 「まーだだよー!」 「まーだー?」 「もーいーよ、って言ったらくるんだよ!!!」 れみりゃはルールを覚えて、れいむを見つけ出せるようになった。けれども小さくて丸いゆっくりれいむは、木の下にもしげみの中にも隠れられるので、なかなか見つからなかった。 逆に、れいむが鬼になると、れみりゃはすぐ見つかってしまった。れみりゃはどこに隠れても、羽を隠すのを忘れて、ぱとぱとと出しっぱなしにしているので、すごく目立つのだ。 「れみぃ、みーつけた!」 「ううー? れーむ、ずるい!」 「ずるくないよ、ゆっくりとさがしたよ!」 「うぶー、ずるいずるい! ばーか!」 べちん、とれみりゃはれいむを叩いた。れいむのほっぺたがへこむ。「ゆ゛っ」と目を閉じて痛そうな顔をする。 するとれみりゃは、すぐにしまったと思って、叩いたところを小さな手で撫でてやるのだった。 「れーむ、いたくないいたくないよ。ごめんね?」 「うん、いたくないよ! ゆっくりなでてくれてありがとうね!」 れいむがすぐ元気にゆっくりしてくれるので、れみりゃもすぐ嬉しくなった。 「れみぃの手は、あったかくてぷにぷにできもちいいよ!!!」 「れーむー♪」 抱き合ってすりすりと頬ずりをしていると、あったかい気持ちが高まってきて、思わず二人とも叫んでしまうのだった。 「ゆっくりー!!!」 「ゆっぐぃー!!!」 ほかにもいろんなことをした。 きれいな石を広場に隠してお互いに探しっこをしたり。 色のつく草の実をつぶして、顔に模様を書いてあげたり。 草を折って笛にしたり。これはれみりゃが知っている、ただひとつのおもちゃ作りだった。咲夜が教えてくれたのだ。でもれみりゃ自身は、造り方は知っていたがうまく鳴らせなかった。 つたない手つきでそれをつくってれいむに渡してみると、スッスッとしばらく空気を噴いてから、出し抜けにすごい音を立てた。 ぷぴーぃ! 「ゆゆゆ!? なにこれすごい!」 ぷぴー、ぷぴーー、とゆっくりれいむは笛を吹き鳴らした。それがあまりうまかったので、れみりゃは悔しくなって、笛を取り上げて自分も鳴らしてみた。 ぷひぃー……ぷひひぃー…… どうにも気の抜けた音しか出なかった。いらいらしてきて、笛を地面にたたきつけた。 「うぐぅー! つまんなーい!」 「ゆっ、れみぃはちからをいれすぎだよ!」 れいむがそれを拾って吹いた。 ぷぴー! ぷっぷくぷぴっぴー! 「やさしく吹くといいよ! そうっとゆっくり吹くんだよ!」 れいむが差し出した笛を、れみりゃはもう一度くわえた。そして、れーいむがやったみたいに、そうっと吹いてみた。 ぷぴっ んぷぴーぃ…… 「あった!」 「鳴ったねー!」 「あったあった! ゆっぐぃーったー!」 二人で代わりばんこに笛を渡して、何度も何度も笛を吹いた。 れいむとそんな風に遊ぶのが、れみりゃはとても楽しかった。 今までこんなことをしたことはなかった。れみりゃは、ゆっくりと見れば食べてしまうのが普通だった。仲間のれみりゃたちは、食べることと咲夜たちにかまってもらうことしか興味がなかった。 れみりゃは生まれて初めて――ただ一人きりの――友達を見つけたのだ。 そんな思いを表したくて、れみりゃはれいむを抱き上げて、ぱとぱとと飛び上がる。「ゆっ?」と驚いたれいむも、次第に高度が上がるにつれ、喜び始めた。 「たかいたかい! とおくがみえるよ!」 「れみぃ、れーむだいすきー」 「れいむもれみぃがすきだよ! ずっと仲良くしようね!!!」 魔法の森の上を飛んでいく、おかしな組み合わせの二人。 ゆっくりれいむも、あまり友達がいなかったので、新しい友達になったれみりゃのことが大好きだった。 でもひとつだけ、嫌なことがあった。 二人で遊んでいる最中、れみりゃはおなかがすいてぐずり始めるときがある。れいむがちょうちょやバッタをとってきたり、木の実を上げたりしても、ほとんど食べない。 「れみぃ、ごあんがいーのー!」 足元をでしでし蹴って、れみりゃはそう泣き喚く。 「れいむ、ごはん持ってきてあげたよ!」 「いやー! こーれーじゃーなーいーのー!」 そういうとき、れみりゃはいつもきょろきょ辺りを見回してから、れいむに聞くのだ。 「ごあんにいって、いーい?」 「ゆ……ゆっくりいってきてね!」 れいむはそう答えて、飛んでいくれみりゃを見送る。 小一時間ほど待っていると、れみりゃが戻ってきて叫ぶ。 「れーむ、あーそーぼ!」 「ゆっくりあそぼうね!!!」 そう言って、れいむは迎える。 嫌なのはこのときなのだった。 れみりゃの手や口元に、乾いたあんこがこびりついている。クリームの時もある。 満腹のれみりゃは、なにかひどく不安で不吉な雰囲気を身にまとっている。 うすうす、想像はつくのだ。れみりゃは本当は仲間じゃない。見つけたら逃げなきゃいけない、敵だ。自分だって「れみぃ」以外には見つからないよう、いつも注意している。れみぃ以外は、わるいれみりゃなのだ。 ううん。 多分、れみぃも――。 「ね、ねえ、れみぃ。あのね?」 「うー?」 「ごはん、ゆっくり食べないでほしい、な……」 「ごぁんー? ごぁんたべる!」 れみぃは無邪気な笑みを浮かべて、ごぁんごぁんと繰り返す。 その顔には、屈託のかけらもない。 たぶん、自分の友達はこの「れーむ」だけで、それ以外はみんなごはん、と割り切っているのだ。 何の悪意もなく。 それを見ていると、れいむは何も言えなくなってしまうのだった。 そんなある日、ゆっくりれいむとゆっくりれみりゃは、二人で森の上を飛んでいた。 「今日はとってもいいゆっくりポイントを教えてあげるよ!」 「ゆっぐぃー♪」 ぱとぱとと飛行するれみりゃの腕の中から、れいむは地上を見下ろす。 れみりゃに会う以前、別のゆっくりから聞いたそのポイントのことを、今朝になって思い出したのだ。 やがて緑の森の一角に、クジラの背のような灰色のこぶが見えてきた。れいむはむぎむぎと身動きして、れみりゃに教えた。 「れみぃ、あそこだよ! あの灰色のところにゆっくり降りていってね!」 「おりうー!」 そこはこんもりとそびえる、岩山だった。山といってもゆっくりが登れるぐらいのゆるやかな坂があり、てっぺんが平らになっていて、日向ぼっこにちょうどいい。 おまけにゆっくりがちょうど入れるぐらいの割れ目があって、万が一敵が来た時も、ゆっくりと隠れていられるという話だった。 れみりゃとともに、れいむは岩山に降り立った。そこにすでにたくさんのゆっくりが来ていた。紅白のゆっくりれいむと黒白のゆっくりまりさの一家が追いかけっこをし、紫のゆっくりぱちゅりーがうとうとと日向で体温を高め、緑のゆっくりちぇんが転がっている。 そこにれいむは声をかけた。 「みんな、ゆっくりさせてね!」 ふりむいたゆっくりたちが、挨拶しようとした。 「「「「「「ゆっくり……」」」」」」 「うっうー!」 れいむの背後で上機嫌に手を振るれみりゃを見た途端、全員が凍りついた。 「「「「「「……できないよぉぉぉぉ!!!」」」」」」 皆がなだれを打って逃げ出した。走る、飛ぶ、転がる。突き飛ばす。 あっという間に全員が、岩棚の隅にある割れ目の中へ隠れてしまった。 「ゆゆっ、みんなどうしたの!?」 ゆっくりれいむは戸惑って、割れ目の前へ近づく。すると、中から敵意のこもった声が飛んできた。 「その人はゆっくりできない人だよ!」 「ゆっくりつれてかえってね!」 「むきゅー、こわかったよぉ……」 ゆっくりれいむはおろおろと、れみりゃと割れ目を見比べる。 「そんなことないよ、このれみぃはいいゆっくりれみりゃだよ!」 「いいれみりゃだってさ」 「おお、こわいこわい」 「わからない、わからないよー!」 嘲りのこもったくすくす笑いが漏れてくる。ゆっくりれいむはだんだん腹が立ってきた。自分みたいに仲良くすれば、ゆっくりれみりゃだって怖いことをしないのに! 「ねえ、ゆっくりでてきてね?」 れいむはもぞもぞと割れ目に入り、一番手前にいたゆっくりまりさの帽子をくわえて、くいくいと引き出そうとした。 するとまりさは抵抗した。 「ゆっ? いやだよ、出る気はないよ! ここでゆっくりするよ!」 「そんなこと言わないで、ゆっくり外に出ようね!」 二人の様子を見て、ゆっくりたちが集まってきた。ゆっくりれいむを取り囲んで、体当たりする。 「なんでそんなことするの?」 「みんなはお外に出たくないよ!」 「あなたはわるい人のてさきなんだね!」 「ゆっ、わるいゆっくり、わるいゆっくりだ!」 「ゆっくりしんでね!」 取り囲まれ、突き飛ばされ、体当たりされたれいむは、悲鳴を上げた。 「ゆっ、ゆぐぅぅ!? れいむは悪くない、わるくないよ!」 「わるくないってさ」 「おお、あやしいあやしい」 「やべでぇぇ、づぶれぢゃう、だすげでぇぇ!!!」 すると、その声を聞きつけたのか、不意に岩の割れ目にれみりゃが頭を突っ込んできた。そして叫んだ。 「がおー! たーべちゃーうぞー!!!」 「ゆぎぃぃぃぃぃぃ!!?」 ゆっくりたちはあわてて割れ目の奥へ引っ込んだ。 その隙に、潰されかけたゆっくりれいむは、もたもたと外へ出てきた。 れみりゃの前で顔を上げて、無理に笑う。 「ごめんね、みんなは今ちょっと、ゆっくりしてるんだって」 「ううー……?」 「よそでゆっくりしようね」 れみりゃは戸惑った。楽しそうにしていたれーむが割れ目に入ってしばらくしたら、急に悲鳴を上げて、ぼろぼろになって出てきたからだ。 割れ目の中にいるのは悪いやつらなんだと思った。岩を覗き込んで、何度も叫んだ。 「がおー、がおがおー! もぐもぐしちゃうぞー!」 「わるいこ、ででこいー! がおー!」 そのたびに奥から、「ゆぐぅぅ、ゆぐぅぅぅ!」と恐怖と敵意に満ちた悲鳴が聞こえた。 無性に腹が立って、踏み潰してやりたくなった。 それを押しとどめたのは、友達のゆっくりれいむだった。彼女は横かられみりゃのスカートをくいくい引っ張って、訴えた。 「れみぃ、もういいよ! ゆっくりよそへいこうね!」 「ううー?」 そんなの嫌だと思った。あの腹の立つやつらを全部やっつけて、友達のれいむの仕返しをしてやりたかった。 けれどもそうしようとすると、れいむがとうとう声を上げて泣き出した。 「う゛あ゛あ゛あ゛ん、もういいよぅ!! れみぃ、もういいからぁぁ!!」 れみりゃには、れいむがなぜ泣いているのかわからなかった。 れみりゃが頑張れば頑張るほど、割れ目の奥のゆっくりたちが、れいむに恨みのまなざしを向けることが、理解できなかった。 それでも、れいむを泣かせたくはなかった。泣き止ませようと、抱き上げて不器用に揺さぶり、子守唄のつもりで下手くそな歌を歌った。 「うーうーううー、んっんーんうー」 割れ目の奥から、ため息のような驚きの声が聞こえたが、れみりゃは気づかなかった。 (続く)